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Kalraの怪談

第35章 三十五話🌕️:部屋の中の溺死体

☆☆☆
<第二の証拠:U湖の水>
神社は確かにしばらく村道を登ったところにあった。小高い丘の上まで荒れ果てた階段を登ると、苔むした石造りの鳥居に、朽ちかけたお社があった。神社の額の文字は全く判別できない。狛犬らしき彫像もあったが、片方は首が取れてしまい、悲惨な状況だった。
野鳥が鋭い声で啼く中、その神社の出で立ちはなんとも不気味だった。

「昼に来てもこんなに薄気味悪いってのに、夜に行こうっていうのは、本当に物好きだったんだろうな」

ただ、神社自体には変わったところはなかった。もちろん、S.Iらが来た、という痕跡も見出すことができなかった。この神社、参道の階段を降りると、細い道を挟んですぐ林がある。その林の向こうには、U湖という小さな湖が広がっていた。

湖のほとりは切り立っているわけではなく、細かな砂利で、ちょっとした砂浜のようでもあった。こんな気味の悪いシチュエーションでなければ、夏に差し掛かり、暑い季節でもあったので、泳いでもいいくらいだった。

「でも、なんか薄気味悪かったんだ。水が異様に澄んでいるんだ。美しいといえばそうだが、深い青で吸い込まれそうだったよ・・・」

Aさんは、そのとき、なんでかはわからないが、この水を採取していこうと思い立った。

「自分でもなんでそう思いついたか不思議なんだがな。もしかしたら、4人がこの水を飲んで、この水に何らかの病原菌が?と思ったのかもしれないな・・・」

こんなことになるとは思ってもいなかったので、飲みかけのお茶が入ったペットボトルからお茶を捨て、そこに湖の水を入れた。

「結局、その水が決め手になったんだよ」

後日、その湖の水から、4人の死因につながるものが発見された。

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