テキストサイズ

Kalraの怪談

第35章 三十五話🌕️:部屋の中の溺死体

『あれ、撮れたか?』
『いや、撮れてない・・・。あれ?録画スイッチ入っている・・・。あーだめだ。』
『ちょっとあれ!何!?』

女性の声、R.Sだろう。
カメラが向けられるが、暗闇で何も見えない。

『たくさん・・・なんだよ』

カメラに薄暗い森が逆さに映る。撮影者がビデオを持ったまま手を下げたようだった。
その後は薄暗く、揺れる画像の中、声だけがする。

『とにかく、走れ!車にもどれ!』
『でも、さっきのまだいるんじゃ?』
『でも、他に方法がないだろう』
『待って!足が・・・いやー!!』

なにか、大きなものが水たまりに倒れ込んだような水音がする。

『おい、待て、S。Rが落ちた』
『何してんだよ!』

バシャバシャと水音がする。

『早く!助けないと』

画面がひときわ大きく揺れたかと思うと、急に静止する。地面に投げ捨てられたようだ。
遠くで『おい大丈夫か』『掴まれ!』などという声とともに、バシャバシャと何人もが水の中に入る音がする。
ビデオの前にザッと音を立て、誰かの足が映る。
映像はそこで終わった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ