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Kalraの怪談

第4章 四夜目:ドライブレコーダー

20XX年9月X日、N県のダムに1台の乗用車が転落し、中に乗っていた男女3人が遺体で発見された。深夜にキャンプ地に向かっていた同車両が、林道で道に迷い、工事中で未完成の道路を直進して、そのまま真っすぐにダムに転落した様子だった。
深夜で暗かったこと、ブレーキ痕がなかったこと、特に三人に目立った外傷等がないこと、自殺する動機もなかったことから、N県警察本部P警察署では、道に迷った同車両が誤って転落したものと見て捜査を進めていた。

P警察署の交通捜査係室内。
A巡査部長は転落した車両から回収されたドライブレコーダーの画像を検証していた。

ドライブレコーダーには暗闇の林の中、車が直進し、突如として前に傾いて転落する様子が記録されていた。
暗くて、道が途切れているのがわからなかったんだろう。音声がないから詳細はわからないけど、特に車内で変わったことが起こった様子はない。

「こりゃ事故だな」

Aは独り言のように言った。
「ん?」
気になって、Aは画像を巻き戻した。落ちる寸前、画面がさっと白くなった瞬間があった。

ノイズかな?

Aは更に検証するべく、コーヒーを入れ、深夜の警察署でレコーダーの画像を見続けた。

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