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Kalraの怪談

第41章 四十一夜目:ずるい

☆☆☆
K子の家を出たときには、B子もちょっと心があたたまる思いがした。偶然だろうけど、K子の供養になっただろうと、思っていた。

幹線道路沿いに家路を急ぐ。駅からK子の家までは例の事故現場を通るのが近かったが、やはり嫌な記憶があるので、そこは迂回した。
しかし、K子の家から、B子の家までは必ず幹線道路沿いの歩道を通る必要があった。

あたりはもう真っ暗だった。左手の道路には大型トラックや乗用車がかなりのスピードで走りすぎていく。ヘッドライトとテールライトが光の川のよう見えた。

『あの日もこんな感じだったな』

久しぶりにあの日のことを思い出していた。事故の原因は飲酒運転だったと聞いた。
『K子ちゃん、何も悪い事していなかったのに…』
そう思うと、自分が生きているのに感謝しければいけないと思えてきた。

ふと意識が現実から離れた一瞬、B子は

どん!

と横から幹線道路の方に押されたのを感じた。
たまらず、道路に倒れ込む。
そこに、大型のトラックが迫ってきて、

キキキーッ

寸でのところで停車した。
運転手が何事か叫びながら降りてくる。
しかし、B子の耳には運転手の声は届いていなかった。

トラックが急停車する寸前に聞こえた声・・・あれは・・・
そう、あれは、確かにK子の声だった。

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