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Kalraの怪談

第41章 四十一夜目:ずるい

☆☆☆
一人でライブに行ってもやはり味気はなかったが、とにかく行き、無事に帰ってきた。
帰りにK子の家に寄り、K子の母に遺影を返した。
K子の母はとても感謝をしてくれた。ついでに、と思い、部屋に上がらせてもらい、お線香をあげた。

「これ、K子の分」
と言って、仏壇にチケットを置いてきた。
その光景を見て、また、K子の母は涙ぐんでいた。

「ところで・・・」

B子は自分の夢にもK子が出てきたことを言った。そして、
「おばさんに、K子はなんて言ったんですか?」と尋ねてみた。
K子の母は、若干躊躇っていたが、意を決したようにこういった。

「気を悪くしないでね。Kちゃんね、おばさんの夢に出てきて、こう言ったのよ。
『私も行きたい』
『ずるい』
って。」

それを聞いて、K子の母はB子のことを思い出したそうだ。生前、いっしょにライブに行く前の日はとても楽しそうにしていたということだった。
それで、せめて遺影だけでも一緒に行ってもらえないだろうかと思って、電話したそうだ。なんならライブチケット代を出してもいいと思っていたらしい。

ところが、B子が本当にライブにいくつもりでいた事を知って、驚いたという。
「本当に、Kちゃんはまだここにいて、一緒に行きたがっていたのかもしれないね。」
そう言って涙ぐんだ。

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