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Kalraの怪談

第1章 一夜目:スキマ

目の下にものすごいクマがある。頬も痩せこけて、数日前とは別人のようであった。一見して不健康であり、何かの病気ではと疑うほどであった。
「お前、あの写真見たか?」
Aは震える声で聞く。Cは首を振る。
「見るな、絶対に見るな」
とにかくと、Aの家に上げてもらったCはびっくりした。カーテンは締め切り、押し入れやドアのスキマというスキマにガムテープが貼り付けてあった。
「どうしたんだ?」ことの異常さにびっくりしたCが尋ねた。
「怖いんだよ、コワイんだ・・・」
Aは震えて、毛布をかぶっている。
「見てるんだよ、いつも、夜も寝られない、ほら、そこに、そこに…」
AはCやCのカバンを指して怯えている。Cはここに来て、Aがもう正常ではないことを悟った。慌てて、Aの親に連絡を取る。Aはそのまま入院することになった。

そういえば、Bも大学で見ていない。CはBにも連絡をしてみたが、同じように返事がない。Bは確か親と同居しているはず。Cは友達伝いに、Bの自宅に連絡をしてみた。母親が電話に出る。困惑したように
「Bが部屋から全く出てこない。食事も食べない。夜も寝ていないようで心配なのだが、うわ言のように『目が、目が・・・』と言って毛布をかぶって震えている。」と教えてくれた。
CはAも全く同じ様子で、つい最近精神病院に入院したことを告げた。Bの母親も戸惑いながらも、精神病院への入院を検討すると告げた。

一体何が起こったのだろう?
AもBも何かに怯えている。Aが言うことを信じれば、あの時撮った写真に原因があるのだろう。その時、Cはガラケーでは添付写真は見ることはできないが、自分でパソコンに転送すれば見ることができる事に気がついた。

見るべきか?
もしかしたら、Bも写真を見たからああなったのかもしれない。Cは考えて、データ送付をすることで、写真を現像するサービスを使うことにした。これなら、自分で直接見なくても写真を現像できる。その写真を心霊現象に詳しい人に封をしたまま持っていこう。

Cが現像を依頼した日、Cの携帯が鳴った。
Aの母親からだった。
「Aが死んだ」
と教えてくれた。Cが状態の異常さを教えてくれたことから、義理立てして教えてくれたようだ。

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