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Kalraの怪談

第44章 四十四夜目:死縄(しじょう)

☆☆☆
この事があってから、30年以上が経ちます。
祖父も20年以上前に亡くなりました。
そして、去年、父親が亡くなりました。
ふたりとも、滞りなく、普通に葬式をあげました。

この話は今まで誰にもしたことがありません。今回が初めてです。
あの時、死者である伯父を縛り付けていなかったら、一体私はどうなっていたのだろう、そう思うことがあります。

動き出した伯父の遺体に飛びかかり、グイグイと首を締め付けた鬼気迫る祖父の姿、そして、動かなくなった伯父の遺体を見下ろして言った言葉・・・
仲が悪かった、祖父と伯父

立ち上がった祖父の下で首を絞められ目を見開き、舌をだらりとはみ出させた伯父の遺体。
その伯父の首にはくっきりと祖父の手形がついていました。

うっ血があったのです。

今、もう一つ、私の頭の中に恐ろしい仮説が浮かんでいます。
でも、言うことは出来ません。

もう、祖父も父も亡くなりました。
全てが過去のことなのです。

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