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Kalraの怪談

第47章 四十七夜目:みえないこども

 2〜3歳でしょうか。薄青色のジャンパースカートをはいて、腰までのボサボサの髪をそのままに垂らしている、女の子のようでした。うつむいており、髪の毛の影で表情は見えませんが、じっとこちらを見ている様子でした。
 9時過ぎに、小さな子がたった一人で公園に佇んでいる。
 その光景に、A子はゾッとしたと言います。思わず、
「あれ・・・」
と声が出てしまいました。
「何?」
L子もA子が見ている公園に目をやりましたが、
「どうしたの?なにかいた?」
と言うのです。
女の子は相変わらず佇んで、こっちを見ています。
微動だにしないで・・・

『見えていない?』

A子は「あれが見えないの?」という言葉をぐっと飲み込み、「なんでもない」と請け合いました。
なんとなく、これ以上触れてはいけない、と思ったのです。
その後、L子は自分のアパートに帰り、それを見届けて、A子は逃げるように家に走り帰ったということです。

『あれは一体何だったの?』

夫に相談しようにも、どう言っていいかわかりません。自分に見えていた子どもが、もう一人の人には見えていなかった。下手したら正気を疑われかねません。
結局、A子は誰にもその時のことを話すことが出来なかったそうです。

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