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Kalraの怪談

第47章 四十七夜目:みえないこども

☆☆☆
 L子が引っ越してきて1年ほど経ったころ、A子はL子について、「おや?」と思うことがあったと言います。

『随分おしゃれになったな・・・』

最初はそういう印象でした。
 着ている服もピンクやベージュなど明るい色が増えました。化粧もパッと人目を引く感じです。最初は地味な印象でしたが、こうしてきちんとお洒落をすると、なるほど年相応、むしろA子よりも若々しくさえ見えるほどでした。
 ある日曜日、L子に誘われて、A子は初めてL子と食事をしました。子どもたちの面倒を夫が見てくれるということで、A子も久しぶりに羽根を伸ばせるので楽しみにしていました。L子との食事自体はちょっと高めのフレンチレストランでのディナーコースを食べ、2人でワインを一本飲むという、ごく普通の会食でした。その中で、今お付き合いをしている人がいることがわかり、A子は、L子が最近きれいになった理由に得心がいったのでした。

『恋をすると、人って変わるんだな・・・』

ニコニコと話をするL子を、ほろ酔い気分で眺めながら、A子は微笑ましく思ったそうです。
 夜も9時を回った、その日の帰り道、最寄駅から帰ると、まずはL子のアパートに差し掛かります。L子のアパートの直ぐ隣には、2つ3つの遊具が申し訳程度に置かれている小さな児童公園がありました。街灯が少ない上に、植え込みや立木が作る影が更に暗さに拍車をかけており、仕事が遅くなったときに通りかかる際も、若干不気味でA子は余り好きではありませんでした。

『やっぱり不気味な公園ね・・・』

 L子と話しながら、見るとはなしにその公園に目をやると、立木からもれる街灯の明かりの下に子どもがいます。

『女の子?』

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