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Kalraの怪談

第48章 四十八夜目:サワギリさん

【サワギリさん】

「サワギリさん、サワギリさん、〇〇が憎くはないですか?」

 これは、私が小学校の頃に流行っていた、一種の呪いでした。放課後、誰もいない教室の真ん中の席に座って、後ろを向いて3回、こう唱えるのです。すると、ここで言った『〇〇』(人の名前です)が階段から落ちて怪我をする、ということでした。

 その当時、まことしやかに流れていた噂では、『サワギリさん』というのは、10年以上前にクラスでいじめられていた子だそうです。体育の教室移動の際に、階段でクラスメートの誰かに後ろから押され、転落。顔に大怪我をしてしまい、それがきっかけで教室の真ん中で首をつって自殺した、というのです。
 10年以上経って、大学生になった今では他愛もない学校の怪談だなと思うのですが、小学生だった当時は、半信半疑といったところでした。

 もちろん、周囲の子も真剣に信じていた訳では無いとしても、『もしかしたら本当かも』くらいには思っていたのだと思います。肝試し的に、何度かクラスの中で『サワギリさんに言ってみようぜ』という話が持ち上がることがありました。

 ある時、同じクラスのAが『やってみる』と言って、試したことがあります。
 Aは私と同じグループで、当時、良く遊んでいたのは私とAさん、それからB、Cの4人でした。やってみる、とは言ったものの、いつお呪いを試したのかは私は知りませんでした、というのも、このお呪いは「誰にも聞かれないように」やらなければいけなかったからです。

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