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Kalraの怪談

第48章 四十八夜目:サワギリさん

 その話をした数日後、同じクラスのS子が階段から落ちました。ちょうど、クラスで図工室に移動しようとしていたときでした。「あ!」と叫び声を上げて、S子は階段から転げ落ち、足を擦りむく怪我をしたのです。
 S子はクラスでもボス的存在で、私達のようなカーストの低い子たちをいつもバカにするような態度を取っていました。その時、私はとっさにAの顔を見ました。心なしか、Aは「信じられない」といった表情をしていたと思います。子供心に「ああ、Aが呪ったのはS子だったんだな」と思ったのです。

 S子の怪我自体は大したことはなく、次の日には普通に学校に来ていました。しかし、S子的にはショックだったのでしょう、この事があってから、まるで青菜に塩といった具合に元気がなくなり、すっかり大人しくなってしまいました。経緯はどうあれ、私達にとっては教室にいやすくなったので嬉しい限りでした。
 そして、サワギリさんの呪いは私達4人の秘密になったのです。

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