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Kalraの怪談

第48章 四十八夜目:サワギリさん

☆☆☆
 ただ、こういったクラス内の順位というのは、一番上の人がいなくなると、すぐに2番手が威張り始めるものです。S子が元気なときにはおとなしかったR子が、今度はアレコレと周囲の子に意地悪をし始めたのです。今で言う『マウントを取る』というやつでしょうか。とにかくR子は自分の得意分野では一番じゃないと気が済まない質だったようで、算数のテストの点に特に敏感でした。
 一方、S子がいなくなったせいで勉強に集中できるようになったのか、Aはここのところ算数の成績が良くなっていました。ある日、普段は個別の点数に触れることがなかった先生が、皆を奮い立たせようとしたのか、「今回のテストはAだけが100点だった」と教壇で拍手したのです。私はハッと思い、そっとR子の様子を伺いました。R子はものすごい形相でAをにらみつけていました。

 その事があってから、何かにつけてR子はAを槍玉にあげ、皆がAと付き合わないように言って回ったり、嫌な役をAに押し付けようとしたりと、あからさまな嫌がらせをし始めました。Aはみるみる元気をなくしました。私たちもクラスの中では大っぴらにAとは話しにくかったのですが、帰る時間をうまく調整して、登下校の際にAを励ましたりしていました。Bなんかは『サワギリさんにお願いしちゃいなよ』などと冗談交じりに言ったりもしていました。

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