
Kalraの怪談
第52章 五十二夜目:かか切りの竹
☆☆☆
タイトル:『女性が聞くと死ぬ話』
まったく、親父も面倒な土地を残してくれたもんだ。
俺は大学を出て、東京の中小企業に就職していた。うちの実家が地元に結構広い土地を持っているのは知っていたが、あんなド田舎の土地なので、さして魅力も感じていなかった。
まあ、実際に、親父が死んで相続してみると、『魅力がない』どころか、『とんでもない』土地だったのだ。
まず、なんの役にも立たない。別に住宅地としての魅力もない、農作地にも出来ない、仮に出来たとしても自分は農業が出来るわけでもない。
さらにあの竹林もある。
親父が言うには、『切ると血縁の女が死ぬ』という呪いの竹林だそうだ。悪いことに『かか切りの竹』ということで、地元じゃたいそう有名だ。このままじゃ、『瑕疵物件』ということで相続税の物納も出来ないらしい。
そもそも何でそんな竹林を放っておいているんだって話なんだけど、俺のひいおじいちゃんが、その竹林を切り開いて農作地にしようとして業者を雇ったことがあるそうだ。けど、その業者が関係していた女性がみんな死んでしまったっていう話。以来、うちでは竹林に手出しをするのはすっかりタブーになってしまった。
さらに悪いことに、どこかで噂を聞きつけた人が、『妻を殺したい』っていうことで、うちの敷地に入ってくることが立て続いた。ついでにうちの物を失敬していくやつなんかもいるので、不用心だったし、だいたい、人に死んでほしいと思うような奴が、うちにこっそりやってきて呪いまがいのことをやっているってこと自体、気味が悪い。なので、親父は竹林をフェンスで囲ってしまった。
そのフェンスの維持費もかかる。
相続した土地はとんでもない金食い虫なのだ。
俺は頭を抱えた。
母親は親父よりだいぶ前に死んでいる。兄弟もいないし、親戚もいない。完全に身寄りがないので、竹林を誰かに押し付けることも出来ない。かと言って、今の収入だと、自分が食うだけでも精一杯で、そんな土地の面倒まで見られない。
俺は考えた挙句、竹林を切ってしまおうと決心した。
そもそも、呪いなんて眉唾だし、仮に呪いがあったとしても、前述の通り、俺には身寄りがないから、血縁を辿って死ぬ女もいない。(ついでに言えば彼女すらいない)
と、言うわけで、会社に1週間の休暇届を出し、竹林の伐採を行なうことにした。
タイトル:『女性が聞くと死ぬ話』
まったく、親父も面倒な土地を残してくれたもんだ。
俺は大学を出て、東京の中小企業に就職していた。うちの実家が地元に結構広い土地を持っているのは知っていたが、あんなド田舎の土地なので、さして魅力も感じていなかった。
まあ、実際に、親父が死んで相続してみると、『魅力がない』どころか、『とんでもない』土地だったのだ。
まず、なんの役にも立たない。別に住宅地としての魅力もない、農作地にも出来ない、仮に出来たとしても自分は農業が出来るわけでもない。
さらにあの竹林もある。
親父が言うには、『切ると血縁の女が死ぬ』という呪いの竹林だそうだ。悪いことに『かか切りの竹』ということで、地元じゃたいそう有名だ。このままじゃ、『瑕疵物件』ということで相続税の物納も出来ないらしい。
そもそも何でそんな竹林を放っておいているんだって話なんだけど、俺のひいおじいちゃんが、その竹林を切り開いて農作地にしようとして業者を雇ったことがあるそうだ。けど、その業者が関係していた女性がみんな死んでしまったっていう話。以来、うちでは竹林に手出しをするのはすっかりタブーになってしまった。
さらに悪いことに、どこかで噂を聞きつけた人が、『妻を殺したい』っていうことで、うちの敷地に入ってくることが立て続いた。ついでにうちの物を失敬していくやつなんかもいるので、不用心だったし、だいたい、人に死んでほしいと思うような奴が、うちにこっそりやってきて呪いまがいのことをやっているってこと自体、気味が悪い。なので、親父は竹林をフェンスで囲ってしまった。
そのフェンスの維持費もかかる。
相続した土地はとんでもない金食い虫なのだ。
俺は頭を抱えた。
母親は親父よりだいぶ前に死んでいる。兄弟もいないし、親戚もいない。完全に身寄りがないので、竹林を誰かに押し付けることも出来ない。かと言って、今の収入だと、自分が食うだけでも精一杯で、そんな土地の面倒まで見られない。
俺は考えた挙句、竹林を切ってしまおうと決心した。
そもそも、呪いなんて眉唾だし、仮に呪いがあったとしても、前述の通り、俺には身寄りがないから、血縁を辿って死ぬ女もいない。(ついでに言えば彼女すらいない)
と、言うわけで、会社に1週間の休暇届を出し、竹林の伐採を行なうことにした。
