
Kalraの怪談
第57章 五十七夜目:取りかえっ子
☆☆☆
三度目に『アレ』を見たのは、中学生の頃だったと思います。
私の家の近くに市民会館がありました。そこの2階が中学生や高校生に開放されていて、本を読んだり、ゲームをしたりできるので、良く友達と誘い合って行っていたのです。
1階は市の催しや展示スペースとして活用されていました。
その日は丁度そんな展示があったのです。『家族写真展』ということで、家族をテーマにした写真のコンクール作品の展示でした。私が友人と何気なくその展示を見ていると、あるひとつの写真に目が止まったのです。
おそらくリゾート地で撮った写真なのでしょう。椰子のような植物、その背景には真っ青な海が広がっています。父親と思しき、よく日に焼けた短パン姿の精悍な男性と、麦わら帽子に薄青色のワンピース姿の母親と思しき女性が立っていました。そして、その二人の間に、小学校低学年くらいの女の子がいたのです。
他の二人が「ザ・リゾート」という格好なのに、その子はおかっぱ頭に白いブラウス、吊りの赤いスカートというなんとも場違いな出で立ちで写っていました。
そして、その顔はさらに異質さを感じさせました。三日月のように歪んだ目、目鼻に比べて異様なほど大きな口でにーっと笑っていました。その顔を見た時、私には過去2回遭遇した『あれ』の笑みをどうしても思い出してしまったのです。
「なにこれ、気持ち悪い」
私はついつぶやいてしまいました。ところが、いっしょにいた友人は「え?そう?」と言うのです。私が「だって、・・・」と言いかけたのですが、友人は興味がなさそうに通り過ぎてしまったので、結局、このことはこれっきりになりました。
ところが、後日このことは意外な形で、私達の間で再び話題になったのです。
三度目に『アレ』を見たのは、中学生の頃だったと思います。
私の家の近くに市民会館がありました。そこの2階が中学生や高校生に開放されていて、本を読んだり、ゲームをしたりできるので、良く友達と誘い合って行っていたのです。
1階は市の催しや展示スペースとして活用されていました。
その日は丁度そんな展示があったのです。『家族写真展』ということで、家族をテーマにした写真のコンクール作品の展示でした。私が友人と何気なくその展示を見ていると、あるひとつの写真に目が止まったのです。
おそらくリゾート地で撮った写真なのでしょう。椰子のような植物、その背景には真っ青な海が広がっています。父親と思しき、よく日に焼けた短パン姿の精悍な男性と、麦わら帽子に薄青色のワンピース姿の母親と思しき女性が立っていました。そして、その二人の間に、小学校低学年くらいの女の子がいたのです。
他の二人が「ザ・リゾート」という格好なのに、その子はおかっぱ頭に白いブラウス、吊りの赤いスカートというなんとも場違いな出で立ちで写っていました。
そして、その顔はさらに異質さを感じさせました。三日月のように歪んだ目、目鼻に比べて異様なほど大きな口でにーっと笑っていました。その顔を見た時、私には過去2回遭遇した『あれ』の笑みをどうしても思い出してしまったのです。
「なにこれ、気持ち悪い」
私はついつぶやいてしまいました。ところが、いっしょにいた友人は「え?そう?」と言うのです。私が「だって、・・・」と言いかけたのですが、友人は興味がなさそうに通り過ぎてしまったので、結局、このことはこれっきりになりました。
ところが、後日このことは意外な形で、私達の間で再び話題になったのです。
