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Kalraの怪談

第59章 五十九夜目:花火

☆☆☆
その日、K太は大口の商談がまとまったとやらで、やたらと機嫌が良かった。
僕ひとりでは絶対にいかないような店に『俺が奢るから』と連れて行ってくれる。
さすが経営者御用達だけあって、良い雰囲気の店だった。

そこの女将(ママというのが正しいのかな?)が出てきて対応するほど、K太はこの店を多用しているらしい。
「あら!Nさん(K太の名字)。今日は男の人をお連れなんですね」
「おいおい、ママ、バラすなよな」
そんな会話。どうやら、K太はあっち方面でもお盛んらしい。
「はいはい。すいませんね。今日は何になさるの?」
にこやかなママに手慣れた様子でK太は酒やら何やらを注文する。
すぐにテーブルの上が賑やかになった。

しばらく旨い酒に酔った後、
「おい、K太。お前、妻子がありながら、女の子連れ込んじゃまずいだろ?」
アルコールで口が軽くなった僕は言った。
「いや、まあ、いいんだよ。あいつにゃちゃんと尽くしてんだ、これでも俺は」
「そのうち愛想尽かされるぞ」
「ないね!俺とアイツは深ーい縁で結ばれてんだよ」
実はな・・・とK太が声をひそめる。

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