
Kalraの怪談
第60章 六十夜目:六十夜目の怪
【六十夜目の怪】
ふっと、また火が消された。
幾夜に渡ってこれを続けてきただろうか。
いつから、私はここにいる?
10畳ほどの和室。
明かりは中央に集められた薄い油皿に立つ灯心に点る火だけだ。
あと、いくつあるのか?
心做しか、油皿の火が、先程からありえないような青色に揺らいで見える。
私は・・・『私』は・・・?
昔から怖い話が好きだった。
怪談にまつわる本を読んだり、映画やドラマもホラー系が好きだった。
それだけでは飽き足らず、文化人類学、民俗学、果ては西洋の魔導書なども読み漁った。
現実にある恐ろしい話、その怪異に興味がでるのは時間の問題だった。
友人や知人から、怖い話を聞かせてもらったり、自分から積極的に蒐集したり。
いつしか知り合いは私のことを『怪異の専門家』とみなしていた。
私も、少しいい気になっていたかもしれない。
自分は、そういったことに詳しいのだと。
2か月前、ここに来た。
このお堂に籠もって、話されるいくつもの怪異。
番が回れば、私は私の話・・・『私の怪談』を語って聞かせる。
一夜にひとつ。ひとつの話。
話しては、中央に集められた油皿を受け取って、火を吹き消した。
百物語・・・
江戸時代に流行ったこれは、降霊の儀式だ。
怪は、怪を呼ぶ。
怪を語れば、怪に塗れる。
知ってはいたはずなのに、『私』はなぜここにいる?
ああ・・・また、番が回ってきた。
話さなくてはいけない。
ふっと、また火が消された。
幾夜に渡ってこれを続けてきただろうか。
いつから、私はここにいる?
10畳ほどの和室。
明かりは中央に集められた薄い油皿に立つ灯心に点る火だけだ。
あと、いくつあるのか?
心做しか、油皿の火が、先程からありえないような青色に揺らいで見える。
私は・・・『私』は・・・?
昔から怖い話が好きだった。
怪談にまつわる本を読んだり、映画やドラマもホラー系が好きだった。
それだけでは飽き足らず、文化人類学、民俗学、果ては西洋の魔導書なども読み漁った。
現実にある恐ろしい話、その怪異に興味がでるのは時間の問題だった。
友人や知人から、怖い話を聞かせてもらったり、自分から積極的に蒐集したり。
いつしか知り合いは私のことを『怪異の専門家』とみなしていた。
私も、少しいい気になっていたかもしれない。
自分は、そういったことに詳しいのだと。
2か月前、ここに来た。
このお堂に籠もって、話されるいくつもの怪異。
番が回れば、私は私の話・・・『私の怪談』を語って聞かせる。
一夜にひとつ。ひとつの話。
話しては、中央に集められた油皿を受け取って、火を吹き消した。
百物語・・・
江戸時代に流行ったこれは、降霊の儀式だ。
怪は、怪を呼ぶ。
怪を語れば、怪に塗れる。
知ってはいたはずなのに、『私』はなぜここにいる?
ああ・・・また、番が回ってきた。
話さなくてはいけない。
