
Kalraの怪談
第20章 二十夜目:坂道
【坂道】
その日、Aは友人のB、C子、D子と一緒にドライブをしていた。友人同士の気楽な旅だ。
運転手はB。Aは運転席のすぐ後ろの席に座っていた。
Bは、Aの友人であり、助手席のC子と恋人同士だった。そして、後部座席でAの隣に座っていたD子は、C子の友人、という関係だった。
まあ、こうなると、自然とBはC子と、C子はD子と話すことが多くなり、B、C子、D子で話が盛り上がるようになるわけで、最初はAも話題についていこうと一生懸命話そうとしていたが、そのうちだんだんと外の景色を見ていることが多くなってきた。
窓を開けると、初夏の山特有の爽やかな空気が入ってくる。運転をしているBには悪いけど、とても気分がよく、ウトウトとしてしまう。
そんな時、Aは一瞬の睡魔に負けて寝入ってしまった。おっと、いけないと思い、目を覚ますと、あたりはだいぶ薄暗くなっていた。いつの間にか山道を抜けて、森のようなところを走っていた。BやC子、D子も話し疲れたのか、静かにしていた。
誰も口を利かない静寂の中、エンジン音だけが響く夕暮れ、新緑の森をひた走るというのも悪くはない。ふと、時間が気になったAはBに尋ねた。
「今何時だ?」
すると、Bは妙に小さい声で
「3時24分だ」
と答えた。
なんだろう?自分が寝ている間に、C子と喧嘩でもして機嫌が悪いのだろうか。
Aは最初、そう思っていた。
横のD子を見てみると、D子はじっと前を見ている。そして、しきりに左手をさすっているようだった。
「D子ちゃん、手、どうかしたの?」
Aが尋ねると、D子は
「・・・ないの」
とこれもまた小さい声で答えた。
『何でもないの』と言ったのだろうか?それにしてもみんな元気がないので、Aは妙に居心地悪く感じていた。
道は下り坂に入っており、森が深いのか、まだそんなに暗くなる時間でもないだろうに、あたりはどんどん暗くなっていくようだった。向かっている先を見てみると、なんだかとても薄暗いのが気になった。
だんだん、Aは妙な胸騒ぎを覚えてきた。どういうわけか、「このままこの車に乗っていていいのだろうか?」という考えが浮かんでくる。体が粟立ち、何か取り返しの付かないことが起こっているのではないかと思えてならない。
その日、Aは友人のB、C子、D子と一緒にドライブをしていた。友人同士の気楽な旅だ。
運転手はB。Aは運転席のすぐ後ろの席に座っていた。
Bは、Aの友人であり、助手席のC子と恋人同士だった。そして、後部座席でAの隣に座っていたD子は、C子の友人、という関係だった。
まあ、こうなると、自然とBはC子と、C子はD子と話すことが多くなり、B、C子、D子で話が盛り上がるようになるわけで、最初はAも話題についていこうと一生懸命話そうとしていたが、そのうちだんだんと外の景色を見ていることが多くなってきた。
窓を開けると、初夏の山特有の爽やかな空気が入ってくる。運転をしているBには悪いけど、とても気分がよく、ウトウトとしてしまう。
そんな時、Aは一瞬の睡魔に負けて寝入ってしまった。おっと、いけないと思い、目を覚ますと、あたりはだいぶ薄暗くなっていた。いつの間にか山道を抜けて、森のようなところを走っていた。BやC子、D子も話し疲れたのか、静かにしていた。
誰も口を利かない静寂の中、エンジン音だけが響く夕暮れ、新緑の森をひた走るというのも悪くはない。ふと、時間が気になったAはBに尋ねた。
「今何時だ?」
すると、Bは妙に小さい声で
「3時24分だ」
と答えた。
なんだろう?自分が寝ている間に、C子と喧嘩でもして機嫌が悪いのだろうか。
Aは最初、そう思っていた。
横のD子を見てみると、D子はじっと前を見ている。そして、しきりに左手をさすっているようだった。
「D子ちゃん、手、どうかしたの?」
Aが尋ねると、D子は
「・・・ないの」
とこれもまた小さい声で答えた。
『何でもないの』と言ったのだろうか?それにしてもみんな元気がないので、Aは妙に居心地悪く感じていた。
道は下り坂に入っており、森が深いのか、まだそんなに暗くなる時間でもないだろうに、あたりはどんどん暗くなっていくようだった。向かっている先を見てみると、なんだかとても薄暗いのが気になった。
だんだん、Aは妙な胸騒ぎを覚えてきた。どういうわけか、「このままこの車に乗っていていいのだろうか?」という考えが浮かんでくる。体が粟立ち、何か取り返しの付かないことが起こっているのではないかと思えてならない。
