
Kalraの怪談
第24章 二十四夜目:シオミ人形
【シオミ人形】
私の友達のF子の家は、もともと古くからの商家だったとのことで、庭に蔵が建っているような立派な家に住んでいた。私はF子とは幼馴染で、よくその家に遊びに行ったものだった。
もともと、F子の家は、父方のおじいさんとおばあさん、それからF子の両親、F子、弟の6人家族だった。F子の父が何をしているのかはよくわからないが、何か手広く商売をしているようだった。
しかし、F子の家によく行ったのは小学生のときくらいまでだった。その頃、丁度F子の祖父と祖母が相次いで亡くなった。別に、そのことがきっかけというわけではないが、そのあたりから自然と行くことが少なくなっていった。
また、F子は中学生くらいから、随分性格が変わってしまい、あまり人と話さなくなってしまった。時折、学校も休むようになり、私もF子と遊ぶこと自体が少なくなっていっていた。
それでも、クラスで一番F子と仲が良かったのは多分私だった。
高校1年の終わりも近いある日、私はF子から妙な話を聞かされた。
「実は、私、変な夢を見るんだ・・・」
F子の家にはとても古い雛人形が伝わっている。随分年季が入っているが、きれいに手入れがされている。もちろん、男雛、女雛から三人官女、五人囃子、右大臣と左大臣、仕丁が全部揃っている。F子も私も、その人形がとても好きだったが、F子の祖母は嫌いだったようだ。F子の祖母は、その人形のことを「シオミ人形」と吐き捨てるように言って、とても嫌なものを見る目で見ていたのを私たちは随分不思議に思っていた。
F子の家では女児がいるときには、この立派な雛人形を3月3日のひな祭りを挟んで前後1ヶ月、合計2ヶ月ほど飾り続ける風習があった。
F子が見た、いくつかの夢は、ちょうど、この雛人形が飾ってある間に見たものだというのだ。
最初の夢は、F子が小学校の4年生の頃に見たものだった。
3月のある日、床につくと、しばらくして、ガサガサと周囲が騒がしいことに気づいた。ただ、体が全く動かない。そのうち、変な男の声が聞こえてきた。まるで浪曲や歌舞伎のような、妙な節を付けた言い回しだった。
私の友達のF子の家は、もともと古くからの商家だったとのことで、庭に蔵が建っているような立派な家に住んでいた。私はF子とは幼馴染で、よくその家に遊びに行ったものだった。
もともと、F子の家は、父方のおじいさんとおばあさん、それからF子の両親、F子、弟の6人家族だった。F子の父が何をしているのかはよくわからないが、何か手広く商売をしているようだった。
しかし、F子の家によく行ったのは小学生のときくらいまでだった。その頃、丁度F子の祖父と祖母が相次いで亡くなった。別に、そのことがきっかけというわけではないが、そのあたりから自然と行くことが少なくなっていった。
また、F子は中学生くらいから、随分性格が変わってしまい、あまり人と話さなくなってしまった。時折、学校も休むようになり、私もF子と遊ぶこと自体が少なくなっていっていた。
それでも、クラスで一番F子と仲が良かったのは多分私だった。
高校1年の終わりも近いある日、私はF子から妙な話を聞かされた。
「実は、私、変な夢を見るんだ・・・」
F子の家にはとても古い雛人形が伝わっている。随分年季が入っているが、きれいに手入れがされている。もちろん、男雛、女雛から三人官女、五人囃子、右大臣と左大臣、仕丁が全部揃っている。F子も私も、その人形がとても好きだったが、F子の祖母は嫌いだったようだ。F子の祖母は、その人形のことを「シオミ人形」と吐き捨てるように言って、とても嫌なものを見る目で見ていたのを私たちは随分不思議に思っていた。
F子の家では女児がいるときには、この立派な雛人形を3月3日のひな祭りを挟んで前後1ヶ月、合計2ヶ月ほど飾り続ける風習があった。
F子が見た、いくつかの夢は、ちょうど、この雛人形が飾ってある間に見たものだというのだ。
最初の夢は、F子が小学校の4年生の頃に見たものだった。
3月のある日、床につくと、しばらくして、ガサガサと周囲が騒がしいことに気づいた。ただ、体が全く動かない。そのうち、変な男の声が聞こえてきた。まるで浪曲や歌舞伎のような、妙な節を付けた言い回しだった。
