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Kalraの怪談

第24章 二十四夜目:シオミ人形

「蛙がいる・・・」
私は驚いた。F子の話を信じていないわけではなかったが、こうして本当に蛙がいると改めて怖くなってしまう。

F子と私は協力して、紐をくくったバケツを落とし、蛙を救出するべく奮闘した。小一時間位で運良く蛙はバケツに入ってくれ、引き上げることができた。

「これで、大丈夫だよね?」
F子に聞かれたが、なんと答えていいかわからなかった。きっと大丈夫だよと言ってあげたかったのだが、確信なんて持てなかった。

その日は、そこでF子と別れた。

その日の夜、夜中の3時位にF子からメールが来ていたようだった。朝になって気が付き、読んでみてびっくりした。

『また夢を見た。
 主の命を破った、しんのういんは死なないけれども、他の人が死ぬと言ってた。誰?誰が死ぬの?母ならいいけど、弟や父だったらどうしよう。どうしたらいい?』

メールはまだ続いているようだったが、ひどく動揺した様子に心配でいてもたってもいられなくなった。この日は休みで、普段なら昼過ぎまで寝ているような私だったが、朝早く家を飛び出し、F子の家に向かっていた。向かいながら、何度かF子の携帯に電話をしたが呼び出し音がなるばかりでつながらなかった。

F子の家に着くと、パトカー数台と救急車が止まっている。嫌な予感がする。本当に誰かが死んだのかもしれない。
私はF子の家に入ろうとしたが、すぐに二人の警察官に止められた。

「ここの家の子の友達です。F子と話をさせてください」
言うと、警察官は互いに目を見合わせた。
「君はF子さんの友達かい?」
「はい」
「・・・F子さんは今朝、亡くなった。今、検死をしているところだ。残念ながら、君に見せる訳にはいかない・・・」

私は言葉が出なかった。力なく、引き返すしかなかった。
その日のうちに小さな町はF子の家の事件の噂で持ち切りとなり、聞きたくなくても、F子の家で起こったであろうことがいろいろな人の口から聞こえてきた。やはりF子は自宅で母親に殴り殺されたのだ。きっかけは、朝起きてこなかった、とか、そういった程度のことだったらしい。F子が反論したことに逆上した母親が近くにあった弟が使っていたバットで殴ったのだそうだ。

母親の虐待が高じた結果だった。

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