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自殺紳士

第7章 Vol.7:復讐の日

【復讐の日】

ロープを買った
 遺書も用意した
身辺の整理は終わった

夜11時 会社のオフィス
 目論見通り、今夜は誰もいない
ロープを掛ける場所の検討もついている

明朝、経理の女の子は遅く来る予定だから
 「私」を発見するのは
あいつのはずだ

私は椅子に乗り
 ロープを輪にして掛けた
2〜3回引っ張り、強度を確かめる

問題ないようだった

「あの〜」
突然の声に私は腰が抜けるほど驚いた
ぎょっとして振り返る

見ると、黒のスーツに
かろうじて黒ではない濃紺のネクタイを締めた青年
なんでこんな時間に社員でもないヤツがここにいる?

しかも、こんなタイミングで!

「すいません」
男は間の抜けたような声でなおも話しかけてくる

「どうされました?」

私もうっかり答えてしまった
 何やってるんだ!
とにかく、今日は失敗だ
 予定が狂ってしまった

綿密に立てた計画が崩れて、私は怒りを感じていた

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