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自殺紳士
第8章 Vol.8:檻の家
【檻の家】
私はフラフラと街を歩いていた
夏の夜
薄手の服で、女性一人で歩いているのは
危険だとわかっていた
どこに行く宛もなかった
でも、帰る宛はもっとなかった
帰るところがないのっていうのは
こんなにも心細いものなのだと
嫌というほど分かった
気がつくと
私は、誰もいない公園にいた
公園は高台にあって
端っこは崖みたいになっていた
下を見ると
目がくらみそうだった
ココカラオチレバ
モウ
ナグラレズニスム
ふらりと
私は柵に手をかけていた
突然、腕を掴まれる
はっと我に返って振り返ると
そこには
夜の公園の闇に溶け込みそうなほどの黒いスーツに
かろうじて黒ではない濃紺のネクタイを締めた青年がいた
青年は少し息が切れている
私が飛び降りようとしたのにびっくりして
止めてくれたようだった
私はフラフラと街を歩いていた
夏の夜
薄手の服で、女性一人で歩いているのは
危険だとわかっていた
どこに行く宛もなかった
でも、帰る宛はもっとなかった
帰るところがないのっていうのは
こんなにも心細いものなのだと
嫌というほど分かった
気がつくと
私は、誰もいない公園にいた
公園は高台にあって
端っこは崖みたいになっていた
下を見ると
目がくらみそうだった
ココカラオチレバ
モウ
ナグラレズニスム
ふらりと
私は柵に手をかけていた
突然、腕を掴まれる
はっと我に返って振り返ると
そこには
夜の公園の闇に溶け込みそうなほどの黒いスーツに
かろうじて黒ではない濃紺のネクタイを締めた青年がいた
青年は少し息が切れている
私が飛び降りようとしたのにびっくりして
止めてくれたようだった
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