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Lの劣情

第1章 2024年6月吉日…

 27

「あ、いや、だって…あのまま寝落ちしちゃったみたいで…」

 だけど…
 わたしばっかり感じまくって、アイ先輩を愛せなかった…
 とは、恥ずかしくて言葉には出せなかった。

 …のだが、その想いが伝わったのであろうか?
「ううん、そんな、いいのよ」
 と、アイ先輩はわたしを見つめながら…
 スッと長い手を伸ばし…
 わたしの頭を優しく押さえ…
 キスをしてくる。

「ぁ……ん………」
 その優しいキスにわたしの心は瞬く間に震えてしまい…
 ズキズキズキズキ…
 ウズウズウズウズ…
 再び、また、昂ぶりを疼かせてしまうのだ。

「…いいのよ、みっき、アナタとまたこうして再会できて…
 そして…
 それだけで私はもう…」
 と、潤んだ、濡れた瞳を向けながら、そう囁いてきた。

「あ、はい…わ、わたしも…」

 わたしもまたアイ先輩と再会できて、こうして…
 だが、わたしはその想いは言葉には出せない。

 なぜなら…
 なんとなくだが、そんな軽々しい言葉を言ってしまったならば、この昂ぶっている思いや想い、そしてこのカラダの奥深くの昂ぶりの疼きが一気にシラケて醒めてしまうような感じがしたから。
 
「うん…そうね、ありがとう……」
 そしてわたしとアイ先輩は再び唇を交わし、熱く舌先を絡め合い…

「は……………」
 お互いの熱い想いを無言で交わし合う。

 だって…

 それ以上は…

 いや、明日からは…

 あまりにも現実的では無いから…

 そして言葉に出してしまったならば…

 夢が…

 いや、昨夜の現実が…

 夢幻の如くに消えてしまいそうだったから…




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