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それぞれが考えている方向は同じはずだけれど、どう思いつくかがなかなか難しいのか、皆しばらく会話がないままに考えていた。
「しかし困りましたね。
ここまで来た理由の手がかりが、記憶が少しでもあったりしたらそれを中心に考えられたけど、皆違う形で無くしてますからね」
向き合いながらそれぞれ考えていたことからすぐに話し始めた男の方に向ける。
「そうだな、この記憶が僅かでもあったら違ったかもしれない」
かと言ってまた思い出そうと辿れば、あの頭痛が来るだろうと、それは本当に必要な時以外は嫌だと無意識のうちに拒否をしていた。
「うーん。つまり私たちは今。
強制的にゲームに参加させられているってことですね
「「ゲーム？」」
「はい。よくあるじゃないですか、そういうジャンルの本や映画や劇など」
さすがミステリ好きであって、そういう状況を考え出すことに喜びを隠せない様子で目を輝かせ説明を始めた。
もう一度辺りを見回しながら、何かを見つけられないことにはこの場所を出られないと、女が言っていることも否定できない。
「…確かに。」
顔に手を当ててぽつりと出た独り言に、慌てた表情に変わり隣の男が否定し始める。
「いやいや、あれは誰かの娯楽を満たすために書かれている話であって、所詮は創作でしかないですよ。
そんな創作が現実になるなんてあり得ないと思いますよ」
「…だったら今この場にいる俺たちはどう説明をするんだ？」
まだ顎に手を当てて色んな仮定を考えてはいるが、この状況の中で、否定しようとする男に静かにそう聞いた。