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微熱に疼く慕情

第3章 【甘く麻痺していく心情】






眼鏡を返してもらってコソコソと会議室を出る
急に呼び出すから何事かと思えば
よっぽど切羽詰まってたんですね
待てない、とか可愛らしいですけど



時間がない……はベタな言い訳だよね
忘れかけていたから本当焦らせてくれる
良い意味で刺激的
時間なんてものは本気になれば作れるもの
余裕って大事



会社から出て少し離れた場所で待ち合わせ
人の目を盗んで会うのってドキドキしますよね
アフター5仕様の私にまた恋しちゃってください



「え……可愛い」


「本当ですか?嬉しい」



ハーフアップにしてみました
ゆるふわウェーブって男の人は皆好きでしょ?
眼鏡のない私をマジマジと見てる
そろそろ慣れてくださいよって言いたいところだけど久しぶりだからね
見過ぎだよって照れてみる
まぁ、でも良いよ、心ゆくまで見ててください



また素敵なレストラン予約してくれてて
それなりに会話も弾んでる……
さっきからずっと、そういう目で見てるよね
昼間のキスが忘れられない感じ…?
先輩、せっかちだからこの後すぐホテル直行なのかな
私の返事待ちって事すぐ忘れちゃうからなぁ……



でもまだ、私たちの距離感は先輩後輩
並んで歩いても腕は組まないし手も繋がない
会話もほとんど敬語
私なりに一線を引いてるつもり
今にも消え入りそうな線引きだけどね
それが返って良かったのかも
偶然、レストランから出て来たところをバッタリと会ってしまった



「え……?一華さん?」



すぐ後ろに居る山岸先輩に気付いてフリーズしてる
美容師仲間との食事会かな?
男女グループの中に居た彼は私を見て思わず声を掛けてきた様子で……
「誰?知り合い?」と先輩に聞かれてしまう





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