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微熱に疼く慕情

第4章 【錯乱していく激情】






起きようとしても力が上手く入らなくて
支えてもらいながら起き上がった
嗚咽から身体も若干、震えている
怖がっているように見えるんだ
肩を抱いて胸を借りるも、泣く事しか出来なくて
結局、困らせてしまっている



もう今が何時なのかもわからないけど、
何でもしてくれるなら一つだけお願いしようと思った 



やっとの事で口が開いて声を発する



「……帰ります、帰してください」



ゆっくり見上げると、優しい顔の明島さんが少し困惑しているようにも見えた



「今は動ける状態じゃないだろ、もう少し休んでくれ」


「……帰る、帰り…ます」



重い腰を引きずってベッドから足を下ろした
黒崎さんとも目が合う
手には、私の着てきたワンピースを持っていた
普通に立ち上がって歩こうとしただけなのに
膝から崩れ落ちてしまう
咄嗟に明島さんが抱きかかえてくれて頭を打たずに済んだ



「やっぱり無理だろ、ベッド戻るぞ」


「いやっ…」



初めて、明島さんに歯向かってしまった
明島さんも、言った本人も驚いている
スッと立ち上がった明島さんは私に背を向けた



「黒崎、後は頼む」



そう言って部屋から出て行ってしまったの
怒らせてしまった……
追い掛けるにも立ち上がる力は残っていない
拒絶したように見えたよね……
私、拒絶したんだよね……?
もうお前なんか要らないって思われた…?
どうしよう、捨てられたら私……
これからどうすれば良いのかわからない



もう会えない…?
愛してもらえない…?
自分の手で切ってしまったの…?



「一華ちゃん……明島さんは優しさで出て行ったんだと思うよ?だから自分責めないでね、ベッド戻ろうか」


「……黒崎さんお願い、家まで送ってもらえませんか」


「一華ちゃん……」





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