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微熱に疼く慕情

第7章 【錯綜していく哀情】






「一華……ごめん」


「ハァハァ……ハァハァ……」



肩まではだけたブラウス
見下ろすと至る所につけられたキスマーク
立ってられなくもなって崩れ落ちていた



「少し………距離置きませんか?」



気付けばそう言ってしまっていた
自然と出ていたの
心がブレーキ掛けたんだと思う
怖いとか、そんなんじゃなくて、
きっとこれは、先輩の為……
凄くダメな方に向かってる気がしてならないの
理解してくれない事もわかった上で話してる



「何で…?俺の事、嫌いに、なった?」



首を振っても信じて貰えないだろうね
今は何を言っても拒絶するだろうし
追い打ちをかけていたとしても言わざるを得なかった



「好きです……先輩の事、でも今のままじゃお互い傷つけるだけだなって……そんなの、お互い耐えられないはずだから……冷静になる為に少しだけ離れましょう…?」


「離れて何になる?他の男探すの?次に話し合いしたらやっぱり好きじゃなくなったって俺を振るんでしょ?」


「ちゃんと私の話、聞いてないじゃないですか……私、ずっと好きですよ、嫌いにならないし私からは振ったりしません、信用出来ないならそこは悲しいですけど…」



乱れた服を直して立ち上がる
しゃがみ込んでいた先輩も立たせた
ヤバいな、このまま職場戻って大丈夫?
その顔のままだと仕事にならなさそうだけど……
両手を握って頬擦りした



「離れても、心までは離れないよ……」


「他の男に乗り換えないで……彼氏居るからって断って」



嫉妬ってゾクゾクするけど
こんなに人を子供みたいにさせちゃうのね
このキスマークが消えるまでには冷静になれてるよね
離れるといっても連絡を途絶えるわけではない
会社では節度を守るって事と、
プライベートでは会わないけど連絡は毎日する
ほんの少しだけ、触れ合わないってだけ
意味ある?って思うだろうけど良いスパイスにはなるよ
危機感っていうのを程良く与えるの





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