
微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】
まさか、私の方から離れて強制的にやめる事になるとはね……
取り乱した事にまた動揺して「ごめんなさい」されちゃった
「んふふ、良いよ、また、しようね」
「えっ…?」
「イヤ?」
「イヤ………じゃないです」
「これ、私の……」
スマホを見せて連絡先を交換した
「良いんですか?彼氏さん、怒るんじゃ」
「心配だったら私の連絡、無視したら良いよ」
「え……そんなのズルい」
「私と関わりたくないならそうするべきだよ?連絡先、やっぱ消す?良いよ」
その時ちょうど彼の持っていたPHSが鳴ってすぐに通話していた
戻る時にまだ動揺隠しきれてなかったけど
「あんな忘れられないキスしたんだから責任取ってください」って捨て台詞
「OK〜」と軽く頷いておいた
掌ヒラヒラさせて見送る
責任取ってください、か……面白い
久しぶりに聞いたな
また一人、堕ちたから忙しくなるね
この病室で何回キスしたんだろう
とっかえひっかえ違う相手と淫らな行為
飽きないな、私も
病院だからなのか?妙にムラムラするんだよね
体調が戻ってきてるから余計なのかも
ダメだとわかりながら私も大胆に堕ちていく
退院日も翌日に決まり、連絡するところには全部連絡した
仕事もすぐに復帰出来るし、やっとこの入院生活から解放される
タイトなワンピースにショート丈のGジャン
バッチリメイクをした私に担当医や看護師さん達も何故か見惚れてる…?
こんな美人でびっくりしました?なんて……
堺くんは居なかった
オーダースーツでキメた明島さんも隣に居るのでオーラが違うかな…?
「お世話になりました」と病院を後にする
黒崎さんの運転する車で送ってもらう
家に帰って来て、掃除しなきゃなって思ったけど
合鍵渡してたから先輩が掃除してくれてたみたい
テーブルの上の“退院おめでとう”メモを見つけてクスッと笑う
