
微熱に疼く慕情
第10章 【囚われない愛と持続的な関係】
こんな風に言われてしまうとは、これまでの明島さんからは想像すら出来なかった
いつも強引でこっちは振り回されっ放しで
でもそこに惚れて今まで慕って依存関係を築いてきた
あの日、あなたに見つけてもらえた日から私の人生は一変したの
出逢う前になんて戻れないくらい
今でも心から愛してる
そっとベッドに花束を置いた
もう一度、前に立って私も跪き目線を合わせた
差し出す手が少し震えてる
両手でその手を包みこんだの
ホッとしたような顔
「ありがとうございます……でも私は、コレを貰える資格はありません、ごめんなさい」
「何故だ」
「約束、守れてないから」
「え?」
「ごめんなさい……」
「約束ってまさか……」
あぁ、こんな大事な人の顔を曇らせてしまった
今日だって、どの面下げて会ってるんだよって言われたら何も言えなくなる
私、ずっと、明島さんを裏切ってるよ
「今すぐじゃなくて良いって言ったろ?だから俺を選べ、俺を見捨てるなよ」
「見捨てるなんて……私からは出来ません」
「一華、俺にはお前が必要だ、一華もそうだろ?俺ナシの人生考えられるか?」
握り締めていた手に力がこもる
首を横に振ると更に畳み掛けてこられた
明島さんは私が依存している事も全てお見通しで
どうにかして繋ぎ止めてくれようとしている
自分も私ナシでは生きていけないと
私がどれだけ必要かを真剣に伝えてくれた
もう涙でぐちゃぐちゃだよ
応えられないの
前にも言ったよ……
身辺整理なんて何一つ出来てない
許してもらえるなんて思ってないよ
「一華、泣かないで?俺は一華と結婚したい、初めてそう思える女なんだよ、お前が俺を変えてくれたんだ」
首を横に振るしか出来ない私の答えは一向に受け取ってもらえないのでしょうね
あなたも強情な人だから………
