
微熱に疼く慕情
第11章 【普遍的な真理】
「え、あっ…え?」
身体が離れて再び目が合うと
赤面しているのがこっちにも移ってきて……
真っ赤になる私を見て、スイッチ入る瞬間がわかってしまった
「……ダメ」
近付いてくる顔に背いたのに
「そんな顔されたら、無理」って鼻の頭がくっついた
逃してくれない視線にまんまと引っ掛かって動けなくなる
「好きです、橘さん」
そう言ってキスされた………マジ?
こんなパターンもあるんだ?
唇が少し震えてる気がした
さっきから心臓の音もヤバいもん
頬に触れてくる手も腰に回る手も若干震えてる
いつも爽やかで好青年といった感じだったから
こんな行動に出てきた事が一番の驚き
ちゃんと男なんだね
結構、グイグイ来るタイプなんだ
社内恋愛は不向きなんだけどな
先輩だけで手一杯というか
何で、私?
抵抗しないから逆に戸惑ってる…?
唇が離れて見下ろされて、俯いたら顎クイしてくる
え…まだ?
「メガネしてないのも最高に可愛い、メガネ掛ける理由、わかります」
「え…?」
「メガネしてても可愛いけど、外したら胸撃ち抜かれちゃう、ヤバい」
「え、そんな事……ないです」
「そんな事あるの、もう1回して良い?」
「ダメ……です」
頬に触れる指先
視線は目と唇、行ったり来たり
「俺、いつもはこんな事しないし出来ない人間なんだけど、橘さんは別……もう逃したくないです」
腰に回っていた手でグッと引き寄せてくる
距離が近過ぎだってば……本当、油断出来ない
「いきなりこんな事、気持ち悪いですよね、すみません……」
少し離れてくれたから服の乱れを直した
まだ唇にはっきりと感触が残ってる
えっと、告白されたんだよね?一応
どんな顔すれば良いのやら
こんな時でも冷静で居るのが此処での橘 一華だと思うから……
