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微熱に疼く慕情

第11章 【普遍的な真理】






「OKも出していないのにキスされたの初めてです」


「ご、ごめんなさい」


「始末書、明日の正午までにお願いしますね」


「え?」


「え?」



クスクス笑い合う私たち
ちょっとツボにハマったみたい



「許したわけじゃないですけど、水に流します、今のはノーカウントで」


「え、待って」



踵を返して行こうとしたのに腕を掴まれちゃう
「それだと困る」って何が?
どうやら私に叱られたいらしい
いつも無表情で淡々としているから?
変な性癖カミングアウトされても困る



「次したら本当に怒る」って冷たく言い放ったつもりなのに何でちょっと嬉しそうなの



「ずっとひた隠しにしてきたけど、俺は橘さんと出逢った時から惹かれてます、言うタイミングずっと探ってました」


「な、何で私ですか?可愛い人、他にたくさん居るじゃないですか、うちの会社……私なんて愛嬌もないし、付き合っても楽しくないですよ、他当たった方が」


「俺は橘さんだから好きになったんです!」


「は、はぁ……ありがとう、ございます?」


「あの、本気でお付き合いしたいと思ってます、順番が逆になっちゃいましたけど俺の事、考えてもらえませんか?」


「あ……ごめんなさい、誰ともお付き合いする気ないので」


「えっ、じゃあ、お友達からでも」


「そんなまどろっこしい事、嫌です」


「えぇ……」



クスッ……その顔が見たかったと言ったらびっくりさせちゃうかな?
いや、今からもっとびっくりさせちゃうかもなんだけど……



「割り切りません?それが条件でも良いなら」



すぐに理解出来ないか
頭と顔が“?”だらけ
そのまま近付いて、テーブルまで追いつめたら
少し腰掛けてもらう
ほら、目線が少し下がって私が捕まえやすくなった
足の間にするっと入っちゃう





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