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2人きりの夜から

第10章 10

お兄ちゃんが帰ってきて、一緒にご飯を食べてそれぞれ自分の部屋で自分の時間を過ごす。

私は、机に座って勉強道具を広げたけど、さっきまでの考え事をして時間が過ぎていく。

 ――コンコン

「あお、入るよ」

「うん」

「勉強してた?」 

「あ、うん。あんまり進んでないけどね」

「考え事?」

「まぁ。」

「俺と先生のこと考えてたと思うんだけど、無理して選ばなくていいよ」

「えっ…」

「選ばなくていい。俺を選んでもらえるまで頑張るからさ」

「お兄ちゃん……」

「だから今日は、俺だけを見て」

「うん」

お兄ちゃんは立ったまま、椅子に座る私を優しく抱きしめる。

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