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Injured Heart

第13章 こども side.B

【Wounded Child (Side B)】

すれ違った6歳くらいの男の子を目で追いかける

「高村?」
一緒に歩いていた浅井が尋ねる

11月の帰り道
冬も近い日が傾きかけた頃

「どうかしたか?」
何も答えず
男の子の後ろ姿を見つめる雪一に
浅井はまた声をかけた

ーああ、また
こいつは突然
こうして独りになってしまう
ー俺らが見えない何かを見ている

数秒して雪一は浅井に向き直った
その顔はいつもの高村だった

「お前、たまに遠くなるよな」

そうか?と答える雪一

ー多分、言いたいことは伝わってないな
浅井は軽く嘆息した

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