
Injured Heart
第19章 居場所
【She's lost her Home】
最初に声をかけてからも、
結局、由実とはあまり話をしなかった。
図書館で会う
高村が夜の軽食を少し分けて、並んで食べる
食べ終わると、また席に戻って、
高村は勉強、由実はぼんやりと雑誌をめくる
こんな日々が一週間ほど続いた、
ある日のことだった。
「私、いるとこ、ないんだよね」
由実は独り言のように言った。
メロンパンをかじりながら。
図書館の地下の休憩スペース
あまり品揃えがない自動販売機がひとつ
くたびれた黒い長ソファがひとつあるだけの場所
そのソファに並んで座って、いつものように、
二人は軽食をとっていた。
そんなときだった。
「ずっと、ずっとさ・・・」
由実はぽつぽつと言葉を紡ぐ。
それは、これまできっと、誰にも聞かれることがない、言葉だったのだろうと
高村には思えた。
お父さん、いなくてさ
どこ行ったかとか、お母さんも教えてくれなくてさ
お母さん、色んな仕事してるみたい
ちょっと言えないようなこともしてて
『家』帰ったら、知らない人とかいることあって
その人、お母さんに暴力振るったりして
怖いから、いられなくて
こんなナリだし、友達いないし
パパ活とか怖いし、ひとで夜の街・・・怖いし
その時、高村は初めて由実の両手と両足の
見えないところに傷がたくさんあることに、気がついた。
必死に隠している、
心の傷
ひとりで、抱えていた、心の傷に
中間試験が終わったあと、
程なくして、由実は図書館に来なくなった。
高村の胸が、ツキリと痛んだ
最初に声をかけてからも、
結局、由実とはあまり話をしなかった。
図書館で会う
高村が夜の軽食を少し分けて、並んで食べる
食べ終わると、また席に戻って、
高村は勉強、由実はぼんやりと雑誌をめくる
こんな日々が一週間ほど続いた、
ある日のことだった。
「私、いるとこ、ないんだよね」
由実は独り言のように言った。
メロンパンをかじりながら。
図書館の地下の休憩スペース
あまり品揃えがない自動販売機がひとつ
くたびれた黒い長ソファがひとつあるだけの場所
そのソファに並んで座って、いつものように、
二人は軽食をとっていた。
そんなときだった。
「ずっと、ずっとさ・・・」
由実はぽつぽつと言葉を紡ぐ。
それは、これまできっと、誰にも聞かれることがない、言葉だったのだろうと
高村には思えた。
お父さん、いなくてさ
どこ行ったかとか、お母さんも教えてくれなくてさ
お母さん、色んな仕事してるみたい
ちょっと言えないようなこともしてて
『家』帰ったら、知らない人とかいることあって
その人、お母さんに暴力振るったりして
怖いから、いられなくて
こんなナリだし、友達いないし
パパ活とか怖いし、ひとで夜の街・・・怖いし
その時、高村は初めて由実の両手と両足の
見えないところに傷がたくさんあることに、気がついた。
必死に隠している、
心の傷
ひとりで、抱えていた、心の傷に
中間試験が終わったあと、
程なくして、由実は図書館に来なくなった。
高村の胸が、ツキリと痛んだ
