
Injured Heart
第7章 見えない刃
【Invisible blades】
お昼休み
お弁当の時間
机を合わせている、氷室さんと金本さん
二人、話をしている。
私の目の前で。
「駅前にできたクレープ屋行った?」
「行った行った!」
『私も!金本さんは、いつ行ったの?』
「何食べた?」
「えっと、ヘーゼルナッツとバナナチョコ!」
『私はミックスベリーってやつ』
「ヘーゼルナッツいいよね〜。私んとき、売り切れてたんだよね」
「えー残念じゃん!今度一緒行こうよ」
『・・・』
私がいないかのように進む会話。
三人のときにだけ起こる、微妙な無視。
あからさまに嫌いと言われるわけではない。
口を利かないわけでもない。
問いかけに答えない。
私の話題には決して乗らない。
私がはじめた話題は巧妙に逸らされる。
私がいないときに交換されるお菓子
私がいると不意に止む話題
気にしすぎ・・・かもしれない
多分、話題にすれば、『そんなことないよ』って
他の人がいる時は、笑って話しかける。
わざとらしいくらいに
ああ・・・
また始まる
昨日もそうだった、
今日もそうだ
きっと・・・明日も、明後日も・・・
お弁当
砂を噛むみたい
頬がピクリと震えていた。
「じゃあさ、明後日、放課後、行こうよ!二人で」
そう言ってから、一拍置いて
「あ・・・洋子ちゃんも来れる?」
来れる?・・・のうしろに
『来れるもんならね』
という言葉が聞こえた気がして、
耳を塞ぎたくなる。
お弁当をなんとか喉に押し込む。
蓋を閉じたが、二人は話し続けていた。
私のいない、世界を作っていた。
私の・・・いない・・・
『ガタン!』
突然、大きな音がして、私達はビクッと肩を震わせる。
音の方を見ると、机が倒れていた。
その横には、クラスメートの男の子。
高村くんだった
「あ・・・ごめん・・・」
あまり表情のない彼は、
クラスの女子からはちょっと敬遠されていた。
その高村くんが、私の顔を見て、
それから氷室さんと、金本さんの方を見て、
そして、また私を見た。
「ああ・・・そう言えば、水城のこと、先生が呼んでいた」
水城洋子
私の名
数秒経って、私は、はっと気づく。
「ご、ごめん、ちょっと職員室行ってくる」
お弁当を片付け終わった時
高村くんは、もう、そこにはいなかった。
お昼休み
お弁当の時間
机を合わせている、氷室さんと金本さん
二人、話をしている。
私の目の前で。
「駅前にできたクレープ屋行った?」
「行った行った!」
『私も!金本さんは、いつ行ったの?』
「何食べた?」
「えっと、ヘーゼルナッツとバナナチョコ!」
『私はミックスベリーってやつ』
「ヘーゼルナッツいいよね〜。私んとき、売り切れてたんだよね」
「えー残念じゃん!今度一緒行こうよ」
『・・・』
私がいないかのように進む会話。
三人のときにだけ起こる、微妙な無視。
あからさまに嫌いと言われるわけではない。
口を利かないわけでもない。
問いかけに答えない。
私の話題には決して乗らない。
私がはじめた話題は巧妙に逸らされる。
私がいないときに交換されるお菓子
私がいると不意に止む話題
気にしすぎ・・・かもしれない
多分、話題にすれば、『そんなことないよ』って
他の人がいる時は、笑って話しかける。
わざとらしいくらいに
ああ・・・
また始まる
昨日もそうだった、
今日もそうだ
きっと・・・明日も、明後日も・・・
お弁当
砂を噛むみたい
頬がピクリと震えていた。
「じゃあさ、明後日、放課後、行こうよ!二人で」
そう言ってから、一拍置いて
「あ・・・洋子ちゃんも来れる?」
来れる?・・・のうしろに
『来れるもんならね』
という言葉が聞こえた気がして、
耳を塞ぎたくなる。
お弁当をなんとか喉に押し込む。
蓋を閉じたが、二人は話し続けていた。
私のいない、世界を作っていた。
私の・・・いない・・・
『ガタン!』
突然、大きな音がして、私達はビクッと肩を震わせる。
音の方を見ると、机が倒れていた。
その横には、クラスメートの男の子。
高村くんだった
「あ・・・ごめん・・・」
あまり表情のない彼は、
クラスの女子からはちょっと敬遠されていた。
その高村くんが、私の顔を見て、
それから氷室さんと、金本さんの方を見て、
そして、また私を見た。
「ああ・・・そう言えば、水城のこと、先生が呼んでいた」
水城洋子
私の名
数秒経って、私は、はっと気づく。
「ご、ごめん、ちょっと職員室行ってくる」
お弁当を片付け終わった時
高村くんは、もう、そこにはいなかった。
