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HEAVEN~時を超えて~

第2章 新世界の中

『んー…っ…ンっ…ムー…』


ベットをギシギシ言わせてもがいて起きる


『フー…フー…フー・・・』


思ったより体力がいる



ギシ…ギシっ…


精一杯、肩甲骨をつぼめて
後ろ手に輪になっている腕をお尻に向けて押し込む



『んっ…〜〜…フー…ムー…ぅ』


思うようにいかない…さすがに焦る


もう…ためらってる暇はないや




『んっ…んー…っ…』



バキ…っ・・・ゴキっ…



日常が平穏なら、まず発動しないあたしの荒業だ



両肩の関節がダラッと下がる




可能なこと=平気なこと、ではない


…痛い・・・泣きたいくらい



『んふ…っ…んー…』


あたしは汗だくになってベットを転がるように
僅かに増えた隙間をどんどん押し込んで
膝を精一杯折り曲げて
お尻から、両脚にかけて…腕を抜く



スル…っ…



やった…努力は…たまには報われるものだ



『プハッ……ハァっ…ハァっ…』


口枷を引っ張ってずりおろし
休む間もなく両脚首のロープに手を伸ばす



『ゃ…やった… …は、はやく』


手錠は外せなそうだけど
足さえ動かせれば、走ってひたすら進めば
どこかに辿りついて助けを求められる


焦りとアドレナリンが混じったみたいに
手が震えて上手く動かなくてもどかしい






『ふうん・・・マコト…そんな特技があったんだ』







・・・え?




ドクン…ドクン・・・バクバク…




『隅に置けないね?』





『・・・ぁ…ぁ…』


窒息しそうになりながら恐る恐る後ろを向くと




『スリムだし体柔らかいのは知ってたけど

〃肩を外す〃なんて荒業使えるなんて

僕の知らなかった情報だなあ・・・』




あたしの目の前に…その整った顔があった



怒るでも笑うでもなく

本当に…淡々として

感心しているように目をくりくりさせて




『っひ…っ…・・・きゃぁぁっ…』





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