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HEAVEN~時を超えて~

第2章 新世界の中

『クスクス…あ、ごめん…可愛い頼み事だなって』


あたしの心配は杞憂に終わり

ストーカーは… … …あっ、と

その人は…本当にクシャっと笑っていたみたいだった


ホッ…




『クスクス…それじゃ、行ってくるねマコト』



『ぅ、うん…気を付けて・・』



『…』


『ぇ?…』



『はい、横になって』


満面の笑みのまま強引にベットに寝かされた



『…?!…ン…ふが…っ…ンガガ…』



だからその平坦さが恐いってば
どさくさ紛れで口枷をつけられた



『ムゥー…んぅ…〜〜〜…』



『ほら、暴れないでって。
せっかく落ち着いて来たんだから、いい子にしててね?』



やっぱり…少し・・だいぶ変質者だ
刺激しないようにしなきゃ


『・・・~』

コク…コク…


目を細めながら、信じてもらえるように何度も頷く




『ふふ…それじゃ、すぐに帰るからお利口にねマコト』



バタン…




『・・・』


すぐに?…帰らんで良いっつぅの…

なんなら戻って来るなバカ…!


少し…気を緩めてくれたであろうチャンス

本当なら、もっとあれこれ注文つけて
なるべく遠回りになるように知恵を絞るべきだったけど

そんな都合良くいかない
欲張れなかったんだ

贅沢言ってられないや



あたしはじっとして耳をひそめ
物音にじっくり耳を傾ける



・・・今のは…車のエンジン音

遠ざかっている…よね



やった…


あたしは集めたなけなしの情報を整理して
与えられた時間を頭で計算する



ここはどこ…わからない
外の景色もどんなものか見たこともない


わかっているのは

あたしの住んでいたマンションや、その近隣に
行けない距離ではないこと

車移動するくらいの距離…
それって…ピンキリだよね

遠いと思ってて、案外近かった方がリスキーだ

あまり猶予はない気がしたあたしは
反動をつけて、グッと体を起こした

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