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HEAVEN~時を超えて~

第3章 錯乱

『フゥ…』


深呼吸して…頭の中のモヤモヤを掻き消して
カーテンを閉めた


あたしにとっては大事な自我でも
彼には…きっと
不都合で疎ましいあたしに残った反抗心だと思う


わかってる…


だからって…その感情をあらわにはしない


ここでの私が…〃落ち着いて〃さえいれば
彼はその狂気を見せない

あたしになんの危害も加えない

やさしく・・・してくれる

わざわざ怖い思いをする事なんかない


これで…いいんだよね?


これで・・・


あぁ、いやだ…もうやめにしよう



あたしは気晴らしにお茶を入れて
仕事をしている…と思われる彼の背に声をかけた




『仕事?』



キィ…

彼はすぐに反応して椅子ごとこちらを向く



『ん…あぁ、ちょっとね』



『お茶・・・飲む?』



彼は…本当にどれが本当なのだろうと何度も思うけど

あたしの呼びかけに

口角がクイッと上がって笑顔で頷く



『マコトが淹れてくれたの?嬉しいよ』


『・・・』


そう言って席を立ってすぐに降りて来る



『マコト…どうかした?』


リビングでテーブルを挟んで
紅茶を飲んでいると唐突に言われた



『ぇ…』



『ちょっと顔色良くなさそうだけど』




一緒に過ごすって、こういう事かも


あたし…は、そうでもないけど

あちらは…あたしの癖だとかちょっとした変化に直ぐに気付くみたいなんだ


『具合でも悪いの?…嫌なことでもあった?』


ぁ、ヤバ


見透かされるような感覚は…やっぱり恐かった



『ぅ、、ううん…なんでもないよ』


オデコに当てられた彼の手をそっとはなして
あたしは無理矢理に口角を上げて作り笑いした



『マコト…外に出たいんでしょ?』



『…』


ギクッ…



『図星?…ふふふ
ごめんね、この所立て込んでたから
結局あまり外に行ってなかったね
ストレスたまっちゃうね…ごめんよ』


ティーカップを持った手を少し揺らしながら
ちょっと見透かしたような彼は目で笑った


『ち、、違うってば…ほんとに』

『もう少し待ってて?』


仕事を片付けようと席を立とうとする彼を



『ま、、待っ…て…それよりも』



呼び止めてしまった

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