創造の双子。
第1章 創られた慧
いつものように、西華は道路の端に花束を添える。
手を合わせながら涙を流す。
それが西華の1日の始まり。
「……っていうか…いい加減忘れなよ… あれから5年も経つのに、めそめそめそめそ…
そんなんじゃ、運はこないよっ!?」
「詩穂も、大概朝そればっかり…いい加減、耳たこできるよーっ!」
西華は中学3年生。
詩穂は幼稚園からの幼なじみで、西華の一番の友達だ。
ふるゆわの巻き髪に、ぱっちりとした目、長くて細い足。
詩穂はクラスのアイドル的存在だった。
「でも、今日という今日!
慧が来るんだよっ! 」
ー…209×年 科学の進歩により、人類は人間のクローンを造ることに成功したのだ。
西華は学校を早退して、黒髪の長い髪を鬱陶しそうに走って家まで帰った。
玄関を、急いで開ける。