お前らめんどくせえから結婚しろ
第1章 罪な女と怖い男
「うん」
そう返答すると、男は膝を折って、「乗って。」と言って、私に指示してきた。そのまま私は彼の背に乗り上げて、所謂おんぶされる格好になってやっと店の外へと出られた。
迷惑極まりない酔っ払いへと化した那奈は申し訳ない気持ちで一杯だったが、鈍感すぎる五感機能や身体機能と朦朧とした意識のみの状態で、その後、男に何度も自宅を訪ねられるも行き先を伝える事も書く事も出来ないという無様な状態だった為、ハイテクすぎる黒の外車の助手席(ボタン一つで、天井がプラネタリウムになる構造等)に乗って、彼の自宅へと向かう事になった。
その間、隣の男は一度も機嫌を損ねる事が無かった。
普通なら舌打ちぐらいの1つや2つしてもいいと思うのだが。
ここ...じたく...?
明らかに都心から大きく離れた自宅だったが、バカデカい。
100坪どころか500坪ぐらいはありそうな、海外の富裕層が持っていそうな豪邸だった。
ベロベロに酔っていた那奈がこの時思えたのはそのくらいで、非常に恐縮な思いで男の邸宅にお邪魔する事になった。
「おしごと、なぁに?」
心に思った事が口に出てしまい、サッと口を塞ぐも、思わず吹き出したような男の笑い声が聞こえた。
「秘密。君は?」
今度は少しねっとりした声に身体がブルリと震える。
「ひみちゅ。」
男の真似をしてそう返答すると、男からクスクスとした笑い声が盛れた。
“何だか何処かで見た気がする。”
そんな感想しか持てない鈍感すぎる那奈はグイグイと男に手を引かれて、何LDKかも不明な豪邸の寝室に通された。
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