SAKURA (さくら)
第5章 八重桜 1 弥生
2
もう、わたしは…
戻れないかもしれない――
「去年の子って……女の子…だから…ね………」
「えっ、あっ」
慶太くんの顔が、パアッと晴れていく…
「もう……バカなんだからぁ………」
「そ、そうっすかぁ…」
「うん………」
わたしは、慶太くんの手をギュッと掴み、逸らさずに見つめる――
そして、あの昔と、重なる昂ぶりに、想いを返していく…
だが、それは…
あのひととの、戻る想い、ではなくて…
あの時の、昂ぶりの重なりの比較。
つまり、それは、既視感…
あの人を愛するきっかけの、重なり――
「な、なんだぁ、オレは、てっきり…」
慶太も、逸れずに、見返して…
重なる手が、熱くなってきた。
「もお……バカ…ね……」
「え…」
わたしの手も、熱を帯びてくる。
「け、慶太…だ、だけ…だから………」
「………」
慶太くんの手が、離れ…
指先が、膝を撫で…
スカートの裾まで、這い上ってくる。
「………」
指先が熱い…
そして、わたしは、小さく脚を振るわせ…
その指先を、上から押さえる――
「………」
お互いに、逸れず…
「………」
まだ、ダメ――
「あ…ま、ま……」
もう、破かない……
「弥生課長…なんか、違うっすね…」
「…え……」
触れてる脚が、汗で滲む…
「……き、今日も……」
「………」
「……直帰、で……いいっすよね……」
「………」
一瞬の間。
そして
「………」
わたしは、頷く――
「………」
わかってしまった…
もう、戻れないところまで、きてしまったということだけは――
「………」
それでも、手は、離さない。
もう…
離せない…
離したくない、から――
もう、わたしは…
戻れないかもしれない――
「去年の子って……女の子…だから…ね………」
「えっ、あっ」
慶太くんの顔が、パアッと晴れていく…
「もう……バカなんだからぁ………」
「そ、そうっすかぁ…」
「うん………」
わたしは、慶太くんの手をギュッと掴み、逸らさずに見つめる――
そして、あの昔と、重なる昂ぶりに、想いを返していく…
だが、それは…
あのひととの、戻る想い、ではなくて…
あの時の、昂ぶりの重なりの比較。
つまり、それは、既視感…
あの人を愛するきっかけの、重なり――
「な、なんだぁ、オレは、てっきり…」
慶太も、逸れずに、見返して…
重なる手が、熱くなってきた。
「もお……バカ…ね……」
「え…」
わたしの手も、熱を帯びてくる。
「け、慶太…だ、だけ…だから………」
「………」
慶太くんの手が、離れ…
指先が、膝を撫で…
スカートの裾まで、這い上ってくる。
「………」
指先が熱い…
そして、わたしは、小さく脚を振るわせ…
その指先を、上から押さえる――
「………」
お互いに、逸れず…
「………」
まだ、ダメ――
「あ…ま、ま……」
もう、破かない……
「弥生課長…なんか、違うっすね…」
「…え……」
触れてる脚が、汗で滲む…
「……き、今日も……」
「………」
「……直帰、で……いいっすよね……」
「………」
一瞬の間。
そして
「………」
わたしは、頷く――
「………」
わかってしまった…
もう、戻れないところまで、きてしまったということだけは――
「………」
それでも、手は、離さない。
もう…
離せない…
離したくない、から――
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える