今宵だけは~秘められた人妻との密会
第3章 潮時(3)
「このお店、本当に大好き。でももうしばらく来ることはないかな」
遠くを見つめる有香に、「もう終わりにしたいって言った理由は何なの?」って聞いた。有香はまっすぐな目で僕を見つめると静かに語り始めた。
「先週、会うって約束、無くなったよね。あのとき、私とっても、かずくんに会いたかったの。夫にも嘘ついて会おうと思ってた。 でも会えなかった。あのときのかずくんの理由って、奥さんとの約束ができた、って理由だったよね。」
そこまで語ると有香はコーヒーを一口運び、一呼吸置いて、
「それは仕方ないと思う。奥さんを優先すべきだと思う。 でも、私にはこの現実を受け入れる余裕がなくなったの。夫に嘘つくことも限界。 不倫だからねって思うと仕方ないけど、もうこういう気持ちになることを終わりにしたいの」
「それでも・・どうして今?」
「少し疲れたの……でも、最後は私の中にずっと残ってた好きだった人に触れて……もしかしたら……また始めてもいいっかなって思ってる自分もいたけど……もう、その気持ちもなくなったの」
それから色々と喋った。途中から何を喋ったのかあまり覚えてない。「別れたくない」ということを幾度か口にはしたことは確かだった。
1年前に部活を退部してから1ヶ月ぶりの再会だったが、彼女の横顔は美しく、でも物悲しく見えた。最後は、「分かってくれてありがとう。」といいながら、有香は微笑みながら握った僕の手を握り返した。
「この後、どうする?」
「もう帰る。かずくんはゆっくりしてね。」
「一人で帰れる?」
「何言ってんの?大丈夫よ。慣れた道だからね。」と有香は笑った。
店を出ようとする有香の背中越しに、「本当にもう会えないのか?」と語りかけた。
「かずくん、なんで私なの・・もっと他に素敵な女性がいるわよ」。僕は返す言葉が見つからず黙り込んでしまった。
「またどこかで・・きっと違う気持ちで会えるわ。」
「LINEだけはつなげておいてくれるかな?これが僕の最後のお願い。」
「いいよ。うん」と有香は言ってから店を出て行った。
カランコロンというドアベルの音を聞きながら、有香の座っていた椅子をしみじみと見つめる。一人になって急に寂しくなった。
そして僕は3年間の出会いの記憶の中で、1年前、有香と身体を重ねたあの昼下がりのことを一人で思い出していた。
遠くを見つめる有香に、「もう終わりにしたいって言った理由は何なの?」って聞いた。有香はまっすぐな目で僕を見つめると静かに語り始めた。
「先週、会うって約束、無くなったよね。あのとき、私とっても、かずくんに会いたかったの。夫にも嘘ついて会おうと思ってた。 でも会えなかった。あのときのかずくんの理由って、奥さんとの約束ができた、って理由だったよね。」
そこまで語ると有香はコーヒーを一口運び、一呼吸置いて、
「それは仕方ないと思う。奥さんを優先すべきだと思う。 でも、私にはこの現実を受け入れる余裕がなくなったの。夫に嘘つくことも限界。 不倫だからねって思うと仕方ないけど、もうこういう気持ちになることを終わりにしたいの」
「それでも・・どうして今?」
「少し疲れたの……でも、最後は私の中にずっと残ってた好きだった人に触れて……もしかしたら……また始めてもいいっかなって思ってる自分もいたけど……もう、その気持ちもなくなったの」
それから色々と喋った。途中から何を喋ったのかあまり覚えてない。「別れたくない」ということを幾度か口にはしたことは確かだった。
1年前に部活を退部してから1ヶ月ぶりの再会だったが、彼女の横顔は美しく、でも物悲しく見えた。最後は、「分かってくれてありがとう。」といいながら、有香は微笑みながら握った僕の手を握り返した。
「この後、どうする?」
「もう帰る。かずくんはゆっくりしてね。」
「一人で帰れる?」
「何言ってんの?大丈夫よ。慣れた道だからね。」と有香は笑った。
店を出ようとする有香の背中越しに、「本当にもう会えないのか?」と語りかけた。
「かずくん、なんで私なの・・もっと他に素敵な女性がいるわよ」。僕は返す言葉が見つからず黙り込んでしまった。
「またどこかで・・きっと違う気持ちで会えるわ。」
「LINEだけはつなげておいてくれるかな?これが僕の最後のお願い。」
「いいよ。うん」と有香は言ってから店を出て行った。
カランコロンというドアベルの音を聞きながら、有香の座っていた椅子をしみじみと見つめる。一人になって急に寂しくなった。
そして僕は3年間の出会いの記憶の中で、1年前、有香と身体を重ねたあの昼下がりのことを一人で思い出していた。
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