テキストサイズ

陽が沈む湊、陽が昇る湊。

第3章 初めての夜

彼のスクーターに初めて乗った。

バイクなんて怖い。

彼にしがみ付くようにしていたら

「怖いのか?」

「ちょっとだけ」

私が怖がっていたせいか

車体を倒されたり

スピード出したり

急ブレーキかけたり

されなくて思ったより、風が心地よかった。

今夜はカレーに決まり

彼がカレーライス大好きなのは子どもの頃から知ってる。

隠し味とたっぷりの愛情を込めて煮込んだカレー

いつもより美味しく感じたのは目の前に彼がいるからだと思った。

後片付けをしてゆっくりお風呂に入る

夕食を食べ終わったあたりから

彼の様子がおかしい

落ち着きなくソワソワしている。

一緒に寝るの緊張してるのかな。

私もドキドキしてる。

やっぱり、襲ってくるかしら

なんてね

もしもの事を考えて

念には念をと考えていたら長風呂してた。

居間で彼はビールを飲んで待っていた。

私は準備万端よ。

誘ってくるのかしら

いきなり押し倒されるのかしら

なんか改めて考えたら恥ずかしくなってきた。

私は麦茶をグラスに注いで

彼の隣に寄り添うように座ってみた

押し倒されるの?

誘われるの?

どっち

彼が二本目のビールを飲み始めた。

酔いに任せて襲う気かしら?

記憶ないでやるとかダメでしょ

「この家テレビないの?」

「ない」

「暇じゃない?」

「そうか? オレは気にならない」

「いつも夜なにしてるの?」

「メシ食って、風呂入って寝る」

「真面目か」

彼は空き缶をちゃぶ台の上に置くと私の肩に手を掛けて

「今日は違う……」

「なにが違うの」

「キミがいる」

「私がいると何か違うの?」

「分からないのか?」

「たぶん分かってると思う」

「じゃあ、いいよな?」

肩に乗せた手が私を畳の上に押し倒す。

その上に彼が両腕を突っ張って見下ろしてくる。

まさかの誘われて押し倒されるだった。

わりと正当?

「ま、待って……」

「えっ」

「……ここじゃ嫌」

どこかのドラマで見たようなセリフを吐いていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ