お題小説第7弾「薔薇の名前」
第1章 薔薇の名前
「じゃあ、白波瀬先輩…お元気で」
私は精一杯の笑顔で、先輩に手を振った。
大学の女子テニスサークルの先輩にして、私の憧れの人…
いいや、思いは憧れをとうに超えている。
そんなことは、もうずっと昔から分かっていたことだった。
白波瀬美奈先輩
私と同じように活動しているはずなのに、白く美しい肌はしみ一つない。
少しブラウンがかったブラウンボブのヘアは、おひさまの光になんだかキラキラ光って見えていた。
2月だ。
もうすぐ卒業する白波瀬先輩は、最後にとサークルに顔を出してくれたのだった。みんな、先代のサークル長である白波瀬先輩との別れを惜しんでいた。
「先輩、お元気で!」
「就職、望みどおりなんですよね?すごいです!」
「もし時間あったら、また顔出してください!」
私の同期も、後輩ちゃんも、
みんな先輩のことが大好きだった。
先輩は一通りみんなの言葉に応えると、私の前に来てすっと手を出す。
「梨紗…、一年間、私のあとを継いで、キャプテン、お疲れ様」
その言葉とこちらに伸ばされた手を見ただけで、
私は、泣きそうになってしまう。
ちらと先輩の顔を見ると、その力強い眼差しで、私の方をじっと見て、
そして、目を細めて笑った。
「今西先輩!」
後輩からの声ではっと我に返る。
そして、伸ばされた手をそっと握った。
まるで、触れたところが火傷しそうなほど、熱く感じる。
ぐいぐいと何度か握手される。
みな、その後ろで『先代からの魂の継承だね!』やら『なんかエモーい!』だの、騒いでいる。その騒ぎの中、くいっと先輩が私の手を引いた。
その拍子に私は前によろけ、先輩の顔が間近にくる。
『…あの場所で』
耳元で囁くように言われた言葉に、目を大きく見開いた。
心臓が、どきんと跳ね、逆流した血液が一瞬にして私の脳を沸騰させた。
私は精一杯の笑顔で、先輩に手を振った。
大学の女子テニスサークルの先輩にして、私の憧れの人…
いいや、思いは憧れをとうに超えている。
そんなことは、もうずっと昔から分かっていたことだった。
白波瀬美奈先輩
私と同じように活動しているはずなのに、白く美しい肌はしみ一つない。
少しブラウンがかったブラウンボブのヘアは、おひさまの光になんだかキラキラ光って見えていた。
2月だ。
もうすぐ卒業する白波瀬先輩は、最後にとサークルに顔を出してくれたのだった。みんな、先代のサークル長である白波瀬先輩との別れを惜しんでいた。
「先輩、お元気で!」
「就職、望みどおりなんですよね?すごいです!」
「もし時間あったら、また顔出してください!」
私の同期も、後輩ちゃんも、
みんな先輩のことが大好きだった。
先輩は一通りみんなの言葉に応えると、私の前に来てすっと手を出す。
「梨紗…、一年間、私のあとを継いで、キャプテン、お疲れ様」
その言葉とこちらに伸ばされた手を見ただけで、
私は、泣きそうになってしまう。
ちらと先輩の顔を見ると、その力強い眼差しで、私の方をじっと見て、
そして、目を細めて笑った。
「今西先輩!」
後輩からの声ではっと我に返る。
そして、伸ばされた手をそっと握った。
まるで、触れたところが火傷しそうなほど、熱く感じる。
ぐいぐいと何度か握手される。
みな、その後ろで『先代からの魂の継承だね!』やら『なんかエモーい!』だの、騒いでいる。その騒ぎの中、くいっと先輩が私の手を引いた。
その拍子に私は前によろけ、先輩の顔が間近にくる。
『…あの場所で』
耳元で囁くように言われた言葉に、目を大きく見開いた。
心臓が、どきんと跳ね、逆流した血液が一瞬にして私の脳を沸騰させた。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える