テキストサイズ

クラスの人気者は、刹那の2時間を買い戻したい。

第8章 助けて

朝のホームルーム。

莉子は一つだけ空いた机が目に止まる。

窓際から二列目最前列。

白瀬刹那の席。

ホームルーム後に念のために彼にLINEを送る。

(既読が付けば大丈夫)

彼に送ったLINEはことごとく既読スルーされていた。

既読が付かないまま放課後になってしまった。

莉子は職員室に向かって担任の千堂皐月を探していた。

「千堂先生なら、午後から出張に行ってるよ」

学年主任の柏原先生がそう告げる。

「柏原先生、実は━━」

彼女は白瀬刹那の欠席と応答がない事を説明して彼の住所を教えてもらった。

幸い、学校のバス停から一本で行ける所に住んでいた。

バスに乗って30分、停留所から歩いて7、8分

よく見かける。ワンルームアパートが刹那の自宅だった。

駐輪場に彼のバイクが停めてあるのも確認して、106号室の呼び鈴を押した。

時間をおいて3回呼び出したが反応が無い。

莉子はドアをノックしてドアレバーを下ろしてみる。

カチャ、とドアが開いた。

「白瀬くーん、いるの?」

彼女はよく通る声で部屋の奥に向かって声をかけた。

何かが倒れる音が聞こえたような気がした。

「勝手に上がるよ」

彼女は靴を脱ぎ捨てて、短い廊下を足早に進み扉を押し開けた。

刹那が苦しそうに息をしながらベッドにうずくまっている。

「白瀬くん、大丈夫?」

莉子は彼に近づきおでこに手を添える。すごく熱い。

「はぁ……はぁ、……助けて……」

刹那はうわごとのように助けを求める。

「分かった。ちょっと待ってて」

莉子は冷蔵庫の中をチェックしてみた。

ビールと水。食べかけのツマミのような物しか入ってなかった。

彼女はスマホで近くのコンビニかドラッグストアを探した。

どちらも割と近くにあった、迷わずドラッグストアに向かって走った。

数十分後。

ポカリ、レトルトおかゆ、冷えピタ、風邪薬、熱冷まし、栄養ドリンク

プリン、コーヒー牛乳、氷

レジ袋を床に置いて、刹那の額に冷えピタを貼って

グラスに水を入れて彼に声をかける。

手を貸して体を起こしてやり熱冷ましと風邪薬を飲ませた。

それから、お粥を温めて彼の元に座り掬った粥を口元にやる。

「白瀬くん、お粥少し食べて」

口を開いたので少しずつ流し入れた。

半分くらい食べると拒否された。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ