中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜
第10章 飽食の時。瑠花(3)
管理者としてスタッフの不和には細心の注意を払っていたが、幸いなことにスタッフは皆、人当たりが良く、決定的な揉め事は起きないことが分かってきた。 激務の中で、ようやくほっと胸を撫でおろした。そのスタッフの1人こそが、瑞希だった。
瑞希は、私の連れてきた瑠花と、偶然にもまったく同じ歳だった。 その偶然が呼び水となったのか、二人は驚くほどすぐに打ち解けた。
職場ではお互いを「瑠花」「瑞希」とファーストネームで呼び合い、プライベートでもすぐに互いの自宅を行き来するほどの親友へと発展していく。
しかし、私に対する瑞希の態度は、最初、少しばかり私の胃をキリキリとさせた。 彼女はまさに「竹を割ったような性格」の持ち主だった。
「先生、あの書類のチェック早くしてくださいよ」
「先生、そんな言い方してたらパートさんに嫌われますよ?」
年上の、しかも一応は店舗の責任者である私に対して、最初から一切の遠慮がない、スパっとした物言いや慣れ慣れしい言葉遣いをする。
最初は「なんて生意気な事務員だ」と違和感を覚えたものだったが、観察を続けるうちに、それが彼女なりの、他人との距離感を適度に保つための素直なコミュニケーションなのだと理解できた。
彼女の言葉には裏表がない。そう割り切れるようになってからは、彼女の奔放な振る舞いも気にならなくなり、むしろ激務の薬局における清涼剤のようにも思えていた。
だが、瑠花の心境は、私が考えているよりも遥かに複雑だった。 瑠花にとって、新しい大規模店舗への異動は大きなプレッシャーだったはずだ。それを乗り越えられたのは「先生の役に立ちたい」「先生のそばにいたい」という、私への絶対的な依存心があったからに他ならない。
だからこそ、自分が必死に一歩引いて「完璧な事務員」を演じている横で、新しく現れた瑞希という女が、私に対して遠慮のない態度で距離を縮めていく様子が、瑠花には面白くなかったのだ。
瑞希は、私の連れてきた瑠花と、偶然にもまったく同じ歳だった。 その偶然が呼び水となったのか、二人は驚くほどすぐに打ち解けた。
職場ではお互いを「瑠花」「瑞希」とファーストネームで呼び合い、プライベートでもすぐに互いの自宅を行き来するほどの親友へと発展していく。
しかし、私に対する瑞希の態度は、最初、少しばかり私の胃をキリキリとさせた。 彼女はまさに「竹を割ったような性格」の持ち主だった。
「先生、あの書類のチェック早くしてくださいよ」
「先生、そんな言い方してたらパートさんに嫌われますよ?」
年上の、しかも一応は店舗の責任者である私に対して、最初から一切の遠慮がない、スパっとした物言いや慣れ慣れしい言葉遣いをする。
最初は「なんて生意気な事務員だ」と違和感を覚えたものだったが、観察を続けるうちに、それが彼女なりの、他人との距離感を適度に保つための素直なコミュニケーションなのだと理解できた。
彼女の言葉には裏表がない。そう割り切れるようになってからは、彼女の奔放な振る舞いも気にならなくなり、むしろ激務の薬局における清涼剤のようにも思えていた。
だが、瑠花の心境は、私が考えているよりも遥かに複雑だった。 瑠花にとって、新しい大規模店舗への異動は大きなプレッシャーだったはずだ。それを乗り越えられたのは「先生の役に立ちたい」「先生のそばにいたい」という、私への絶対的な依存心があったからに他ならない。
だからこそ、自分が必死に一歩引いて「完璧な事務員」を演じている横で、新しく現れた瑞希という女が、私に対して遠慮のない態度で距離を縮めていく様子が、瑠花には面白くなかったのだ。
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