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中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜

第10章 飽食の時。瑠花(3)

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少し話を戻す。

「――というわけで、先生。来月から××店での管理薬剤師をお任せしたいのですが、どうでしょうか?」

訪問してきた上司の口から飛び出した打診に、私は内心、かなりドギマギしていた。しかし、提示された条件は決して悪い話ではなかった。いや、むしろ私のキャリアにとっては大きなステップアップだ。

私は喜んでその大役を承諾した。 しかし、私の胸には、承諾した瞬間からどうしても拭いきれない、一つのが気がかりがあった。

「あの、事務の△△(瑠花)さんはどうなるんでしょうか?」

私の問いに、上司は含み笑いを浮かべた。

「△△さんは、このまま今の店舗に残ってもらおうと思っていますが……。先生としてはどうですか? 彼女と一緒に店舗移動したいですか?」

まるで私と瑠花の、まだ誰にも知られていないはずの下心や密やかな関係性を、うっすらと見透かされたような言葉だった。私は一瞬動揺したが、すぐに表情を繕い、胸中にある「表向きの、しかし素直な気持ち」を伝えた。

「△△さんはとても仕事ができますし、私の性格や仕事の仕方を誰よりも良く理解してくれています。ですので、もし彼女さえ良ければ、私と一緒に異動して欲しいと思います」

「わかりました。彼女にも話をしてみて、承諾してくれれば、先生のご希望通り、特別にそういう形でスタッフを転換しましょう」

上司の後押しもあり、私たちは揃って××店へと配置転換されることになった。

移動した先の××店は、それまでの小規模な店舗とは格段に異なる、巨大な調剤薬局だった。門前の総合病院の規模が大きく、1日に扱う処方箋枚数は以前の数十倍。さらに外来だけでなく、手間のかかる在宅業務も本格的に行っている。

スタッフも常勤薬剤師が4人、パートが2人、そして事務員が3人という大所帯だ。前任の管理薬剤師が急遽辞職することになり、在宅業務の経験が豊富だった私に白羽の矢が立った、というのが事の真相だった。

数ヶ月に及ぶ引き継ぎ作業が終わり、前任者が退職して、私が管理薬剤師となってからも、私は常に神経を尖らせていた。新しい環境、膨大な業務、そして何より恐ろしいのは、店舗内での人間関係のいざこざだ。

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