
君の体温は義務だった
第2章 通知
洗濯機を回す。
その間、ソファに座ってスマホをぼんやり眺めていた。
ニュースを流し読みして、動画をいくつか観る。
どれも特に強い興味を惹かれるようなものではない。
やがて、洗面所から洗濯機の短い終了音が聞こえてきた。
重い腰を上げる。
シャツ。
タオル。
靴下。
一枚ずつ丁寧に広げて、ベランダに干していく。
全部、俺一人のものだ。
……当たり前だけど。
最後に、部屋の隅に転がっていた抱き枕を持ち上げた。
「……お前も干しとくか。」
返事があるわけでもないのに、何となく声を掛けてしまう。
ベランダへ運び、形を整えて、二本の物干し竿の間に橋を渡すようにして置いた。
昔から変わらない、いつもの干し方だ。
「よし。」
それだけ吐き捨てるように言って、部屋の中へ戻る。
しばらくすると、本格的に腹が減ってきた。
けれど、自分一人のために自炊する気にはどうしてもなれない。
結局、いつものように近所のコンビニまで歩いた。
サンドイッチ。
レジ横にあった揚げ物。
それから、何となく目についた雑誌を一冊。
会計を済ませ、レジ袋をぶら下げてアパートへ帰る。
昼飯を食べ終える頃には、時刻はすでに午後1時半を過ぎていた。
午後は簡単な部屋の掃除。
といっても、掃除機をサッとかけ、床に転がっていた小物を片付けるくらいだ。
読みかけの文庫本をソファに置く。
ゲーム機の電源を入れてみる。
少し遊んで、すぐ飽きる。
本を手に取って開く。
またすぐ飽きて、閉じる。
スマホの画面を見る。
当然、誰からも連絡なんて来ていない。
壁の時計に目をやる。
まだ夕方にすらなっていない。
「……暇だな。」
口から漏れた呟きが、静まり返った部屋に妙に寂しく響いた。
誰も答えてはくれない。
テレビの電源を入れる。
適当なバラエティ番組をBGM代わりに流したまま、ソファに深く深く腰を下ろした。
別に、困ってはいない。
こういう休日の過ごし方は、俺にとって決して珍しいものではなかった。
誰かと予定をすり合わせる必要もない。
食事の時間も、寝る時間も、すべて自分だけの都合で決めればいい。
それなりに自由で。
それなりに気楽だ。
……たぶん。
ふと、ベランダへ視線を向ける。
竿の上に干された抱き枕が、ぬるい夏の風を受けてほんの少しだけ揺れていた。
その間、ソファに座ってスマホをぼんやり眺めていた。
ニュースを流し読みして、動画をいくつか観る。
どれも特に強い興味を惹かれるようなものではない。
やがて、洗面所から洗濯機の短い終了音が聞こえてきた。
重い腰を上げる。
シャツ。
タオル。
靴下。
一枚ずつ丁寧に広げて、ベランダに干していく。
全部、俺一人のものだ。
……当たり前だけど。
最後に、部屋の隅に転がっていた抱き枕を持ち上げた。
「……お前も干しとくか。」
返事があるわけでもないのに、何となく声を掛けてしまう。
ベランダへ運び、形を整えて、二本の物干し竿の間に橋を渡すようにして置いた。
昔から変わらない、いつもの干し方だ。
「よし。」
それだけ吐き捨てるように言って、部屋の中へ戻る。
しばらくすると、本格的に腹が減ってきた。
けれど、自分一人のために自炊する気にはどうしてもなれない。
結局、いつものように近所のコンビニまで歩いた。
サンドイッチ。
レジ横にあった揚げ物。
それから、何となく目についた雑誌を一冊。
会計を済ませ、レジ袋をぶら下げてアパートへ帰る。
昼飯を食べ終える頃には、時刻はすでに午後1時半を過ぎていた。
午後は簡単な部屋の掃除。
といっても、掃除機をサッとかけ、床に転がっていた小物を片付けるくらいだ。
読みかけの文庫本をソファに置く。
ゲーム機の電源を入れてみる。
少し遊んで、すぐ飽きる。
本を手に取って開く。
またすぐ飽きて、閉じる。
スマホの画面を見る。
当然、誰からも連絡なんて来ていない。
壁の時計に目をやる。
まだ夕方にすらなっていない。
「……暇だな。」
口から漏れた呟きが、静まり返った部屋に妙に寂しく響いた。
誰も答えてはくれない。
テレビの電源を入れる。
適当なバラエティ番組をBGM代わりに流したまま、ソファに深く深く腰を下ろした。
別に、困ってはいない。
こういう休日の過ごし方は、俺にとって決して珍しいものではなかった。
誰かと予定をすり合わせる必要もない。
食事の時間も、寝る時間も、すべて自分だけの都合で決めればいい。
それなりに自由で。
それなりに気楽だ。
……たぶん。
ふと、ベランダへ視線を向ける。
竿の上に干された抱き枕が、ぬるい夏の風を受けてほんの少しだけ揺れていた。

作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える