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孤独を埋めて、満たして

第1章  孤独を埋めて、満たして


♢




「ゆりちゃん、それ俺が混ぜる。ゆりちゃんの手、荒れちゃうから貸して」

「ただのハンバーグのタネだよ。それと…、成瀬くん、さっきから距離が近すぎるよ。……危ないからエプロン引っ張らないで」



付き合い始めて、数ヶ月。

私の家の狭いキッチンで、成瀬くんは私の後ろから抱きつくようにして、熱心に手料理を教わろうとしている。


学校一の問題児でプレイボーイだった彼の激変ぶりは、学校中を震撼させた。

女の子からの誘いはすべて「ゆりちゃん一筋だから」と一蹴し、今や私の姿を見つけるたびに大型犬のように駆け寄ってくる。


人生って、何が起こるか分からない。



「ねぇねぇ。今の俺、髪の毛の先までゆりちゃんの匂いしかしないでしょ?」



成瀬くんは私の首筋に鼻を押し付け、ふーっと甘えるように息を吹きかける。

その肌は驚くほどに熱くて、あの日の、孤独に震えていた体温とは全く違う、満たされた熱を帯びていた。



「……成瀬くん、本当に変わったね」

「ゆりちゃんが俺を拾ってくれたからね。ねえ、早くご飯作って、いっぱいぎゅーってしてよ」



温もりを貪っていた彼は、私という居場所を見つけたことで、その歪んだ独占欲を、すべて私への甘く濃厚な執着へと姿を変えた。



「大好きだよ、ゆりちゃん。一生離さないから」

「…私も、大好きだよ」



私の指先にそっと唇を重ねた彼の瞳にはもう、凍えるような虚無はひとかけらも残っていなかった。





( 終わり )


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