
姉のような母のような黄色い花
第1章 夕陽の差す方角
「圭(けい)ちゃんの部屋はここにお風呂があって、トイレはここでしょ。で、台所はここだから……」
今月号の占いの雑誌には付録がついていた。付録のタイトルは『あなたの部屋の間取りでわかる風水学』といったものだ。〝幸運の方角〟なるものが書かれた紙のシートと、「バスルーム」や「トイレ」「台所」「寝室」「テレビ」などが書かれたカードも入っていた。
「このシートの上に、自分の部屋にあるものを配置していくんだって。そしたら、その部屋の幸運の方角がわかるらしいよ」
吉川美織(よしかわ・みおり)は白のキャミソールとパンツだけの恰好で、ベッドの下の地べたに座って、背中を丸めながら熱心にカードを配置している。
太っているわけではないけど、背中のお肉が結構ついていて、全体的にむっちりとした丸みがある。美織と出会うまでの僕は細い体型の女性が好きで、実際付き合う女性もほとんどが痩せ型だった。華奢な体つきに女の子らしさを感じるのだ。
そうはいっても僕こと見城圭介(けんじょう・けいすけ)はいま二十三歳で、そんなにたくさんの女性と経験があるわけではない。
そもそも美織のような四十歳の女性と裸で抱き合う関係になるなんて初めてのことだ。
美織の見た目は美人というよりも愛らしい感じで、ボブに近い髪型と二重の垂れ目が、年齢よりも若く見えるポイントなんだと思う。
「よし、できた~」
先ほどまで十七歳も年下の僕のおちんちんで突かれて、泣き顔になっていた美織がいまはすっかりケロッとして、無邪気にはしゃいでいる。
出版社で顔を合わせる時は凛々しい雰囲気のある編集者なのに、僕の部屋にいる時は別人みたいに子供っぽくなる。僕に合わせてくれているだけかもしれない。
「何かわかった?」
僕はまだセックスのあとのけだるさが残っていて、ベッドの上でゴロゴロしている。
「うん。えっとね、圭ちゃんは金運を上げたいんだよね。そうなると、南西の方角に、黄色いものを置くといいみたい」
「南西ってどっちだ?」
ここは五畳もない狭い部屋だ。場所は東京の板橋区で、最寄り駅は東武東上線の「中板橋」。その駅から徒歩で十五分以上の、入り組んだ路地の奥に建てられた日当たり最悪のアパートである。風呂とトイレは別だが、五畳もない空間に小さなキッチンが含まれているため、実質使えるのは四畳ぐらいしかない。
今月号の占いの雑誌には付録がついていた。付録のタイトルは『あなたの部屋の間取りでわかる風水学』といったものだ。〝幸運の方角〟なるものが書かれた紙のシートと、「バスルーム」や「トイレ」「台所」「寝室」「テレビ」などが書かれたカードも入っていた。
「このシートの上に、自分の部屋にあるものを配置していくんだって。そしたら、その部屋の幸運の方角がわかるらしいよ」
吉川美織(よしかわ・みおり)は白のキャミソールとパンツだけの恰好で、ベッドの下の地べたに座って、背中を丸めながら熱心にカードを配置している。
太っているわけではないけど、背中のお肉が結構ついていて、全体的にむっちりとした丸みがある。美織と出会うまでの僕は細い体型の女性が好きで、実際付き合う女性もほとんどが痩せ型だった。華奢な体つきに女の子らしさを感じるのだ。
そうはいっても僕こと見城圭介(けんじょう・けいすけ)はいま二十三歳で、そんなにたくさんの女性と経験があるわけではない。
そもそも美織のような四十歳の女性と裸で抱き合う関係になるなんて初めてのことだ。
美織の見た目は美人というよりも愛らしい感じで、ボブに近い髪型と二重の垂れ目が、年齢よりも若く見えるポイントなんだと思う。
「よし、できた~」
先ほどまで十七歳も年下の僕のおちんちんで突かれて、泣き顔になっていた美織がいまはすっかりケロッとして、無邪気にはしゃいでいる。
出版社で顔を合わせる時は凛々しい雰囲気のある編集者なのに、僕の部屋にいる時は別人みたいに子供っぽくなる。僕に合わせてくれているだけかもしれない。
「何かわかった?」
僕はまだセックスのあとのけだるさが残っていて、ベッドの上でゴロゴロしている。
「うん。えっとね、圭ちゃんは金運を上げたいんだよね。そうなると、南西の方角に、黄色いものを置くといいみたい」
「南西ってどっちだ?」
ここは五畳もない狭い部屋だ。場所は東京の板橋区で、最寄り駅は東武東上線の「中板橋」。その駅から徒歩で十五分以上の、入り組んだ路地の奥に建てられた日当たり最悪のアパートである。風呂とトイレは別だが、五畳もない空間に小さなキッチンが含まれているため、実質使えるのは四畳ぐらいしかない。

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