
姉のような母のような黄色い花
第1章 夕陽の差す方角
すぐ隣に美織がいるので、聞くんじゃなかったと思った。
「あ、なるほど。はい。任せてください」
これ以上詳しい内容を聞こうとすれば、美織にバレてしまいそうなので、待ち合わせ場所と時間だけをもう一度確認して、電話を切った。
「仕事?」
まだ裸で、掛布団をかけたままの美織が顔だけを出して言う。
「うん。まあ、いつものエロい原稿やけどね。池袋で女子高生に街角インタビューするんだって」
それは少し前に別の雑誌でやった仕事だが、風俗の潜入取材よりかはよっぽどマシだ。
「そっか……よかったね。少しずつ、仕事が増えているね」
美織は僕がエロ本やゴシップ誌で原稿を書いていることを褒めはしないけど、悪くも言わない。ごちゃごちゃ言われる筋合いでもなかった。毎週、週末はほぼ一緒にいて、お互い独身でもあるが、僕と美織は正式に付き合っているわけでもなかった。かといって、セックスフレンドのような割り切った関係でもなかった。
年がこれだけ離れていると、そうした会話にもならないのだろうか。なんだかよくわからない年の離れたカップルであった。
「うん。まだまだ稼がないとダメやけどな。今月もほんま家賃を払ったら……」
貯金がほぼ無い状態であった。だが、僕はそうした愚痴を女性にこぼしたくないので、途中で話を止めた。
「そうだ。今度、黄色いもの、何か買ってきてあげるね」
暗い部屋のベッドから美織の弾んだ声が飛んできた。
「だから風水は関係ないって。自分の力で稼ぐから」
「でも、運も実力のうちっていうよ。とりあえず、邪魔にならない小さい物にするから、置いておきなよ。イイコトがあるかもだよ」
「そうかなぁ……」
言い忘れていたが、僕と美織がこんな会話を交わしていたのは、二〇〇一年の秋口である。
「あ、なるほど。はい。任せてください」
これ以上詳しい内容を聞こうとすれば、美織にバレてしまいそうなので、待ち合わせ場所と時間だけをもう一度確認して、電話を切った。
「仕事?」
まだ裸で、掛布団をかけたままの美織が顔だけを出して言う。
「うん。まあ、いつものエロい原稿やけどね。池袋で女子高生に街角インタビューするんだって」
それは少し前に別の雑誌でやった仕事だが、風俗の潜入取材よりかはよっぽどマシだ。
「そっか……よかったね。少しずつ、仕事が増えているね」
美織は僕がエロ本やゴシップ誌で原稿を書いていることを褒めはしないけど、悪くも言わない。ごちゃごちゃ言われる筋合いでもなかった。毎週、週末はほぼ一緒にいて、お互い独身でもあるが、僕と美織は正式に付き合っているわけでもなかった。かといって、セックスフレンドのような割り切った関係でもなかった。
年がこれだけ離れていると、そうした会話にもならないのだろうか。なんだかよくわからない年の離れたカップルであった。
「うん。まだまだ稼がないとダメやけどな。今月もほんま家賃を払ったら……」
貯金がほぼ無い状態であった。だが、僕はそうした愚痴を女性にこぼしたくないので、途中で話を止めた。
「そうだ。今度、黄色いもの、何か買ってきてあげるね」
暗い部屋のベッドから美織の弾んだ声が飛んできた。
「だから風水は関係ないって。自分の力で稼ぐから」
「でも、運も実力のうちっていうよ。とりあえず、邪魔にならない小さい物にするから、置いておきなよ。イイコトがあるかもだよ」
「そうかなぁ……」
言い忘れていたが、僕と美織がこんな会話を交わしていたのは、二〇〇一年の秋口である。

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